『雑用付与術師が自分の最強に気付くまで』は、無能扱いされていた付与術師・ヴィムが「竜の翼」を追放され、実力を正当に評価してくれる「夜蜻蛉」と出会うところから始まります。
序盤は王道の「追放→無自覚無双」を楽しめる作品ですが、物語が進むにつれて雰囲気は大きく変化。
ヴィムを最強へ近づける「傀儡師(ペプンシュピーラー)」には、あまりにも大きな代償が隠されていました。
本記事では、漫画1~12巻までのあらすじを第一章・第二章・断章に分けてネタバレ解説。
さらに、傀儡師の代償、迷宮の声、ハイデマリーとの過去、クロノスのその後、11巻の角猿戦、12巻以降につながる謎まで、実際に12巻まで読んだ内容をもとに詳しくまとめます。
※この記事には漫画1~12巻の重大なネタバレが含まれます。未読の方はご注意ください。
『雑用付与術師』漫画1~12巻のネタバレ早見表
『雑用付与術師が自分の最強に気付くまで』の漫画版は、物語が**「第一章」「第二章」「断章」**という大きな区切りで進んでいきます。
漫画1~12巻までの流れを簡単にまとめると、以下の通りです。
| 巻 | 区分 | 主な展開 |
|---|---|---|
| 1巻 | 第一章 | ヴィムが「竜の翼」を追放され、「夜蜻蛉」へ。規格外の索敵・付与術が評価され始める |
| 2巻 | 第一章 | 夜蜻蛉でヴィムの実力がさらに評価される。一方、竜の翼ではヴィムを失った影響が見え始める |
| 3巻 | 第一章 | 夜蜻蛉が98階層を攻略。真のボスが現れ、壊滅寸前の危機に陥る |
| 4巻 | 第一章 | ヴィムが「傀儡師」を発動して真ボスを撃破。謎の黒い存在も登場し、第一章完結 |
| 5巻 | 第二章 | ヴィムが夜蜻蛉へ正式加入。クロノスは99階層で失敗し、「黄金の梟」と接触する |
| 6巻 | 第二章 | ヴィムがリタ=ハインケスと遭遇。リタの正体が黄金の梟のリーダーだと判明し、99階層では角猿が登場 |
| 7巻 | 第二章 | ヴィムと角猿が激突。ヴィムは戦いそのものに強く惹かれ始め、迷宮の「声」も存在感を増していく |
| 8巻 | 第二章 | 角猿との戦いの最中にラウラを救出。黄金の梟との対立や、迷宮の声について重要な事実が明かされる |
| 9巻 | 第二章 | ラウラが夜蜻蛉側で新たな道を歩み始める。一方、竜の翼と黄金の梟による「闇地図」の取引が明るみに出る |
| 10巻 | 第二章 | ヴィムとクロノスの因縁に決着。さらに「傀儡師」がヴィムから記憶まで奪っていることが明らかになる |
| 11巻 | 第二章→断章 | 記憶を削りながら角猿と決着をつけたヴィムは100階層へ。第二章が終わり、ヴィムとハイデマリーの過去編へ |
| 12巻 | 断章 | 領主の娘だったハイデマリーと、使用人の息子だったヴィムの過去が描かれる |
第一章だけを見ると、「無能扱いされて追放された主人公が、新しいパーティーで本当の実力を評価される」という王道の追放ものに見えます。
ところが第二章に入ると、物語の雰囲気は大きく変化。
ヴィムを最強クラスの存在にしている「傀儡師」には重大な代償があり、迷宮から聞こえる謎の声、黄金の梟、角猿との戦いなどを通じて、ヴィムは強くなればなるほど大切なものを失っていきます。
そして11巻途中から始まる断章では、物語は一転してヴィムとハイデマリーの過去へ。
12巻まで読んでも、ヴィムに迷宮の声が聞こえる理由や4巻に登場した黒い存在の正体、現在のヴィムがどうなったのかなど、まだ多くの謎が残されています。
ここからは第一章・第二章・断章に分けて、漫画1~12巻の内容を詳しくネタバレしていきます。
【第一章・1~4巻ネタバレ】追放されたヴィムが夜蜻蛉で「最強」に気付くまで
漫画1~4巻にあたる第一章では、「竜の翼」を追放されたヴィムが「夜蜻蛉」に加わり、自分が当たり前だと思っていた能力が規格外だったことが次々と明らかになっていきます。
序盤はまさに、不当に評価されていた主人公が新天地で正当に評価される王道の追放もの。
ところが98階層の攻略を境に、ヴィム自身も把握しきれていない「傀儡師」の力や謎の存在が描かれ始めます。
後の展開を知ったうえで振り返ると、第一章は爽快な無自覚無双を楽しめる一方、第二章以降につながる不穏な伏線もすでに散りばめられていました。
1巻ネタバレ|竜の翼を追放されたヴィムが夜蜻蛉へ
物語の舞台は「迷宮都市」と呼ばれるフィールブロン。
街の迷宮には金銀財宝やモンスターの素材、まだ誰も見たことのない絶景や未開拓地帯が広がっており、多くの冒険者が一攫千金や名声を求めて集まっています。
主人公のヴィム=シュトラウスも、冒険者パーティー「竜の翼」の一員でした。
ところがリーダーのクロノスから能力を評価されず、ヴィムはパーティーを追放されてしまいます。
そんなヴィムに声をかけたのが、同郷のハイデマリー。
一見すると追放直後の偶然の再会ですが、実際にはハイデマリーが以前からヴィムを監視していたため、どうやら偶然ではありません。
ハイデマリーの口利きもあり、ヴィムは有力パーティー「夜蜻蛉」のパーティーハウスを訪れることになります。
ちょうど夜蜻蛉が迷宮探索へ向かうところだったため、ヴィムも同行することに。
そこで最初に任されたのが索敵でした。
ヴィム本人はいつも通り仕事をしているだけですが、その正確さにカミラをはじめとする夜蜻蛉のメンバーは驚きます。
さらにヴィムが攻撃部隊や盾部隊へ付与術を使用すると、その反応はさらに大きなものに。
夜蜻蛉のメンバーが知っている一般的な付与術とは比べものにならないほど能力が強化され、ヴィムがこれまで「普通」だと思っていた技術が、実は規格外だったことが分かってきます。
「竜の翼では無能扱いだったヴィムが、夜蜻蛉では何かするたびに驚かれる」
1巻はこのギャップがとにかく気持ちいい巻です。
この時点では、典型的な「追放された主人公が新天地で無双する物語」に見えました。
2巻ネタバレ|月給20メルク→600メルク!明らかになるヴィムの価値
迷宮探索を終えた夜蜻蛉では打ち上げが行われ、ヴィムも参加します。
そこでもヴィムは仲間たちから褒められっぱなし。
竜の翼ではまともに評価されなかったヴィムだけに、扱いの違いが際立ちます。
なかでも印象的なのが、カミラとの給料交渉です。
竜の翼時代にヴィムが受け取っていたのは、月20メルク。
これは働き始めたばかりの雑貨屋店員でも受け取れる程度の金額で、命を懸けて迷宮へ挑む冒険者の報酬としてはあまりにも安すぎます。
ところがカミラから提示されたのは、
月600メルク。
あまりの金額差にヴィムは冗談だと思ってしまいます。
ヴィム本人にとっては驚きの展開ですが、読者からすると「今までどれだけ不当に扱われていたんだ……」という話です。
一方、ヴィムを追放した「竜の翼」では、その穴が早くも見え始めます。
ヴィムと入れ替わるように加入したソフィーアは、「本当にこれがBランクパーティーなのか?」と実力に疑問を持ち始めます。
さらに報告書などの書類作成をはじめ、さまざまな雑務をヴィムが一人で担当していたことも判明。
「役に立たない前任者」と聞かされていたソフィーアからすれば、
「どこが役に立たなかったの?」
という状態です。
竜の翼と夜蜻蛉。
2つのパーティーでヴィムに対する評価が正反対に描かれることで、読者としてもますますヴィムを応援したくなります。
そして夜蜻蛉は、いよいよ人類未踏の98階層へ挑戦することになります。
3巻ネタバレ|98階層で夜蜻蛉が壊滅寸前!ヴィムが傀儡師を発動
98階層へ進んだ夜蜻蛉は、ヴィムの索敵能力とメンバー同士の連携を武器に攻略を進めていきます。
ところが階層内で一泊した翌日、状況が変わります。目を覚ますと、迷宮の中にもかかわらず雨が降っていました。予測できない異常事態のなか、ついに98階層のボスが出現。
夜蜻蛉は持ち前の連携でこれを撃破します。
ところが雨は止まりません。何かがおかしい。そして現れたのが本当のボスでした。
先ほど倒した敵は、なんとボスの取り巻きの一体にすぎません。真のボスに加えて多数の取り巻きまで現れ、夜蜻蛉は一気に半壊状態へ追い込まれます。リーダーのカミラが下した判断は撤退。
しかし、全員で逃げ切れるような状況ではありません。そこでカミラはヴィムからありったけの付与術を受け、自分が真のボスを引きつけている間に仲間たちを逃がす作戦を選びます。ヴィムのバフを受けたカミラは真のボスを圧倒。
その姿を見て、絶望しかけていた夜蜻蛉のメンバーにも再び希望が生まれます。
しかし、カミラの大技をかわした真のボスが反撃。カミラは瀕死の重傷を負ってしまいます。
いよいよ「全滅」の二文字が現実味を帯びるなか――
ヴィムが「傀儡師(ペプンシュピーラー)」を発動します。ここから、それまでの「優秀な付与術師」というヴィムのイメージが一変していきます。
4巻ネタバレ|傀儡師で真ボス撃破!謎の黒い存在も登場
4巻では、ヴィムが発動した傀儡師(ペプンシュピーラー)がどのような能力なのか明らかになります。簡単にいえば、ヴィム自身の脳へ付与術をかける能力です。高速化した脳が導き出した「机上の空論」を、自己操縦によって実現していく。
その結果、ヴィムの戦闘能力は一気に跳ね上がります。
先ほどまで夜蜻蛉を壊滅寸前まで追い込んでいた真のボスを、傀儡師を発動したヴィムは単独で圧倒。
夜蜻蛉のメンバーでさえ、何が起きているのか理解が追いつきません。そしてヴィムは98階層の真のボスを単独撃破。絶体絶命だった夜蜻蛉を救います。
しかし、問題はここから。ボスを倒した直後、ヴィムの精神世界のような場所が描かれます。そこには大きな卵のようなものがあり、さらに中から黒い人型のモヤのような存在が出現。黒い存在は、読者には理解できない謎の言葉でヴィムへ語りかけます。
この場面が何を意味しているのかは、漫画12巻まで読んでも明確には説明されていません。
その後もヴィムには迷宮から謎の「声」が聞こえるようになるため、黒い存在と迷宮の声に何らかの関係がある可能性も考えられます。
ただし、現時点では同一の存在なのかも含めて不明です。
最終的に夜蜻蛉は死者を一人も出さず98階層から生還。
人類未踏だった98階層を夜蜻蛉が攻略したというニュースはフィールブロン中へ広がり、ついにはギルドも動き始めます。
ここで第一章は終了。
ヴィムが竜の翼を追放されるところから始まった第一章は、「無能」とされた男が新天地で本当の実力を認められるという、非常に爽快な形で一区切りを迎えます。
しかし同時に登場した「傀儡師」と謎の黒い存在。この2つが、第二章以降の物語を大きく変えていくことになります。
【第二章・5~11巻ネタバレ】「最強」になるほどヴィムは壊れていく
98階層を攻略したことで、ヴィムの実力は「夜蜻蛉」の外にも知られるようになります。夜蜻蛉への正式加入も決まり、ようやく自分の居場所を見つけたように見えるヴィム。
しかし第二章では、物語の雰囲気が大きく変わります。
謎の組織「黄金の梟」、迷宮から聞こえる声、圧倒的な強さを誇る角猿――。
そして何より、ヴィムの切り札である「傀儡師(ペプンシュピーラー)」の本当の恐ろしさが明らかになっていきます。第一章では「無能扱いされたヴィムが実は最強だった」という爽快感が目立ちましたが、第二章ではその「最強」が必ずしもヴィムを幸せにするものではないことが分かってきます。
5巻ネタバレ|夜蜻蛉へ正式加入!クロノスは「黄金の梟」と接触
98階層のボスを討伐したヴィムのもとを、ギルドマスターが訪れます。目的は98階層攻略の祝福だけではありません。ギルド側は以前から、97階層のボスも本当はヴィムが倒したのではないかと疑っていました。報告上では「竜の翼の3人がボスをギリギリまで追い込み、ヴィムが最後の一撃を与えた」ことになっています。
しかし読者は、1巻冒頭ですでに真相を知っています。実際には傀儡師を発動したヴィムが、97階層のボスをほぼ一人で倒していました。それにもかかわらず、クロノスは自分が97階層を攻略したかのように吹聴しています。
ギルドマスターは97・98階層攻略についてヴィムを表彰しようとしますが、ヴィムは97階層については辞退。そんなヴィムを見たギルドマスターは、彼から冒険者らしい野心や覇気を感じない一方で、その奥にある「何か」を感じ取ります。
その後、カミラからヴィムへ夜蜻蛉への正式加入が持ちかけられます。同時にカミラから忠告されたのが「闇地図」の存在。なかでも、闇地図を扱う「黄金の梟(ミナーヴァ・アカイア)」には気をつけろと警告されます。
一方、98階層攻略の噂を耳にしたクロノスは、「ヴィムが単独でボスを倒した」という話を全力で否定。さらにヴィムへの対抗心もあってか、竜の翼は勢いのまま99階層へ挑戦します。
しかし、彼らにはあまりにも早すぎました。竜の翼は早々に壊滅。クロノスが目を覚ますと、そこはベッドの上でした。彼らを救出したのは、よりにもよって黄金の梟のメンバー。
こうして第二章では、
ヴィムは夜蜻蛉へ。
クロノスは黄金の梟へ。
かつて同じパーティーにいた2人が、それぞれ別の勢力と深く関わり始めます。
6巻ネタバレ|リタの正体が判明!ヴィムを誘う「黄金の梟」
99階層での大失態によって、竜の翼を見る周囲の目は一気に冷たくなります。一方のヴィムたちは、ボス討伐後の98階層を探索していました。
ところが何者かが仕掛けた罠によって、ヴィムだけが99階層へ転送されてしまいます。そこで出会ったのが、ギルドから派遣された迷宮調査団を名乗るリタ=ハインケスたちでした。リタたちは迷宮についてさまざまな分析や研究を行っています。実はヴィムも迷宮の謎には強い興味を持っており、普段から科学雑誌を読むほど。自分と似た興味を持つ者たちに囲まれたことで、ヴィムは調査団に居心地の良さを感じ始めます。
このころのヴィムは、「夜蜻蛉が自分の居場所だ」と自分自身に言い聞かせているようなところがありました。
しかし、そのたびに聞こえてくるのが迷宮からの謎の「声」。
夜蜻蛉で仲間から必要とされる生活を望みながら、迷宮にも強く惹かれている――そんなヴィムの葛藤が見え始めます。
ところが調査団の実験で、獣人の少女ラウラがまるで使い捨ての道具のように扱われていることを知り、ヴィムはリタたちに違和感を抱きます。そこへカミラたちが到着。そして、リタの本当の正体が明らかになります。リタこそが、カミラから警告されていた黄金の梟のリーダーでした。
ちなみに、カミラたちがヴィムの居場所を突き止められたのはハイデマリーのおかげ。
ヴィムを普段から監視している事実を隠しながら説明するため、このあたりはシリアスな展開のなかでもコメディタッチで描かれています。無事に夜蜻蛉へ戻ったヴィム。
仲間から必要とされることを心地よく感じ、自分自身も夜蜻蛉での生活を望んでいるはずなのに、心にはまだ何かが引っかかっています。
そして夜蜻蛉は、ついに99階層の攻略へ。
そこで初めて、圧倒的な強敵「角猿」と遭遇します。
7巻ネタバレ|角猿VSヴィム!戦いに魅了されていくヴィム
99階層で遭遇した角猿は、それまでの敵とは明らかに格が違いました。夜蜻蛉のメンバーではまともに対抗できないほどの強さを持ち、ヴィムは仲間を逃がすために傀儡師を発動します。すると戦闘狂ともいえる角猿は、自分とまともに戦えるヴィムに興味を示します。角猿が徐々に実力を解放すると、それに合わせてヴィムも脳への付与を強化。
ところが戦いが激しくなるにつれ、ヴィム自身にも変化が現れます。戦うことが楽しい。もっと戦いたい。
ついには帰還することや仲間の命さえ「どうでもいい」と思いかけるほど、角猿との死闘に没頭してしまいます。そこへカミラから撤退命令が入り、ヴィムは我に返ります。
迷宮を出た後にはヴィムの歓迎会が開かれ、仲間たちとの時間を過ごすことで、
「やはり自分の居場所はここだ」
と思い直すヴィム。
ところが、食べたものをすべて吐いてしまうという不穏な描写が入ります。さらに迷宮から聞こえる謎の声も止まりません。再び99階層へ向かった際にも角猿と交戦しますが、夜蜻蛉の目的は角猿討伐ではなく階層のマッピング。カミラから再び撤退命令が出されます。
ようやくヴィムが戦う気になってきたところだったため、角猿もどこか残念そう。
しかし問題はその後でした。
気がつけばヴィムは迷宮の入口に立っており、ハイデマリーが必死に止めています。それでもヴィムは制止を振り切り、たった一人で99階層へ。今度こそ誰にも邪魔されず、角猿と最後まで戦おうとします。
8巻ネタバレ|ラウラ救出で角猿との死闘は中断!夜蜻蛉VS黄金の梟へ
自分の居場所は夜蜻蛉。ヴィムはそう思おうとしてきました。
しかし本心では、仲間たちと平穏に過ごすことよりも、命を懸けた戦いに身を置くことを求めているのではないか――。
そんなヴィムの危うさが、8巻ではさらに強く描かれます。
99階層では角猿が形態を変化させ、ついに全力でヴィムを迎え撃つ構えを見せます。
ヴィムも、ここで終わるなら、それでも構わない。そんな覚悟で角猿との最終決戦に臨もうとします。
ところが、戦場の近くに倒れていた人物に気づきます。以前、黄金の梟のもとで見かけたラウラでした。ヴィムは角猿との戦いよりラウラの救出を優先。
角猿は戦闘を続けようとしますが、ヴィムの頭にはラウラを助けることしかありません。こうして角猿との決着は、またしてもお預けとなります。
結果的には、これがヴィムにとって救いだったのかもしれません。あのまま戦い続けていれば、もう夜蜻蛉へ戻れないところまで行っていた可能性もあります。
しかしラウラを夜蜻蛉へ連れ帰ったことで、別の大問題が発生します。ラウラが99階層にいた理由は、「闇地図」を作らされていたからでした。闇地図とは、人員を使い捨てにしながら作成される非合法な迷宮地図。人類未踏階層の情報には大きな価値があり、攻略によって名声を得たい冒険者に高値で売ることができます。
その闇地図を扱っているのが黄金の梟でした。
ラウラが生存していれば、黄金の梟の活動だけでなく顧客情報まで漏れる可能性があります。
つまりラウラを保護したことで、
夜蜻蛉VS黄金の梟
という構図が出来上がってしまったのです。
ラウラをフィールブロンの外へ逃がそうとするカミラたちでしたが、移動中にリタ一行と遭遇。
ところがリタが要求したのはラウラの引き渡しではありません。
ヴィムと二人で話をすること。
ラウラが持っている秘密より、ヴィムを自分たちの側へ引き入れるほうが価値が高いということでしょう。そしてリタから、迷宮の「声」について重要な話が明かされます。リタたちは迷宮の声を研究し、ある程度再現することに成功していました。さらにその声は、心の底から聞きたいと思わなければ聞くことができないものだと語ります。リタ自身にも声が聞こえており、ヴィムを「同胞」と呼んで黄金の梟へ勧誘。
夜蜻蛉を自分の居場所だと思おうとするヴィム。
それでも迷宮の声が聞こえ続けるヴィム。この時点で、「ヴィムが本当に求めている居場所はどこなのか?」という疑問が一気に大きくなります。
9巻ネタバレ|竜の翼の「闇地図」使用が発覚!クロノスの名声が崩壊
救出されたラウラは一命を取り留めたものの、下半身に麻痺が残ります。日常生活を送るには付与術で筋肉を動かす必要がある状態。そこでラウラ自身が付与術師となり、自分の身体を動かす方法を身につけていきます。ヴィムにもすっかり懐き、夜蜻蛉側で新たな生活を始めます。
一方、竜の翼にも大きな動きが。
クロノスは新たなメンバーを多数動員し、以前は壊滅した99階層を驚くほど順調に攻略していました。その進み方は、まるで99階層の地図をあらかじめ持っているかのよう。クロノスは再び名声を手にしますが、その裏には黄金の梟から入手した闇地図がありました。
さらにクロノスの暴走は続きます。
竜の翼に所属して命を落としたメンバーの遺族から報復を受けても返り討ちにし、その所持品まで売却しようとする始末。その姿を見たソフィーアは、クロノスをこのまま野放しにはできないと決意します。
そしてソフィーアが接触したのがヴィムでした。実はソフィーア自身も金を目的に竜の翼へ加入した詐欺師。ところが竜の翼の財産を手に入れるためには、かつてヴィムが設定した魔力印が必要でした。ヴィムは竜の翼にいたころ、もちろん悪意などなく仲間のためにこの仕組みを作っていました。
ところが突然追放されたため、解除する機会がなかったのです。ソフィーアは魔力印を刻んでもらう代わりに、竜の翼と黄金の梟による闇地図の取引記録をヴィムへ提示します。結果として竜の翼による闇地図利用は明るみに出て、クロノスの名声は一気に失墜。犯罪者同然の扱いを受けることになります。
ヴィム本人にはクロノスを陥れる意図などありません。それでもクロノスからすれば、またしても自分の前に立ちはだかったのはヴィム。
こうして彼の恨みは、完全にヴィムへ向けられていきます。
10巻ネタバレ|クロノスとの決着!傀儡師の本当の代償も判明
闇地図の不正が発覚したことで、世間では97階層攻略についても疑惑が広がります。
結局、
「竜の翼による97階層攻略はイカサマで、本当に攻略したのはヴィムだった」
という見方が強まっていきます。もちろんヴィム自身は、クロノスから名声を奪おうとしていたわけではありません。
しかしすべてを失ったクロノスは逃亡し、ヴィムへの復讐を考えるようになります。そしてついに、クロノスはヴィムを呼び出して一騎打ちへ。結果はヴィムの圧勝でした。
クロノスが求め続けていたのは名声。
一方のヴィムは、名声など望んでいません。
竜の翼にいたころも、ただリーダーから少し褒めてもらえれば、それだけで満足できた人物です。
名声を求め続けたクロノスと、平凡な幸せを求めていたヴィム。皮肉にも、何も望んでいなかったヴィムのほうが圧倒的に優秀だった。ここで「ヴィム追放」から続いてきた2人の因縁は、ひとまず決着します。
しかし10巻で本当に恐ろしいのは、その後です。このころのヴィムには、すでに記憶の欠落が起きていました。夜蜻蛉の仲間のなかにも、名前を思い出せない人物が出始めています。ハイデマリーのことはまだ覚えています。
そんなヴィムにハイデマリーが伝えたのが、
「私のことを覚えていてほしい」
という言葉でした。
さらにハイデマリーからカミラたちへ、傀儡師の本当の代償が説明されます。脳に強烈な負荷をかける傀儡師。使い続ければ感覚だけでなく、ヴィム自身の記憶まで失われていく。つまりヴィムは強くなるほど、夜蜻蛉で過ごした時間や大切な人たちとの思い出を失っていくことになります。
クロノスとの因縁を終えたヴィムは、迷宮の声に導かれるように再び99階層へ。待っているのは角猿。ヴィムは決着をつけるため、再び脳への付与を強めていきます。
その過程で、不要と判断した記憶まで切り捨てながら――。
11巻ネタバレ|記憶を捨てたヴィムが角猿を撃破――そして100階層へ
もうヴィムと角猿の戦いを邪魔するものはいません。そして読者は、傀儡師を使うことの意味をすでに知っています。ヴィムが戦闘能力を極限まで高めるということは、自分を人間関係につなぎ止めていた記憶まで切り捨てることでもあります。すべてを捨て、角猿との死闘に臨むヴィム。
ところが、待ち望んでいた戦いは意外な形を迎えます。ヴィムはすでに、角猿を圧倒するほど強くなっていました。ヴィムのなかでは命を懸けた死闘が続いているはずなのに、気がつけば角猿は倒れている。それでもヴィムは満足できません。
ついには倒れた角猿へ付与術を使い、自分と戦える好敵手として動かし始めます。
しかし、これはもう互いに命を懸けた戦いではありません。ヴィム一人による演劇のようなものです。あれほど角猿との戦いを求めていたのに、最強になったヴィムは、その戦いから満足感さえ得られなくなっていました。
最終的に角猿を撃破したヴィムは、そのまま100階層へ進みます。
ここで第二章は終了。
その後、ヴィムは行方不明となり、長期間戻ってきません。100階層では、今度はヴィムがボスを相手に圧倒される姿も描かれます。
そんなヴィムの脳裏によぎったのが、
ハイデマリーの「私のことを覚えていてほしい」という言葉。
そして物語は、ヴィムとハイデマリーの過去を描く「断章」へと移っていきます。
【断章・11~12巻ネタバレ】ヴィムとハイデマリーの過去へ
角猿との決着をつけ、そのまま100階層へ進んだヴィム。第二章はここで終了し、11巻途中から物語は「断章」へ入ります。
断章で描かれるのは、ヴィムとハイデマリーの過去。
これまでハイデマリーは、ヴィムのことを監視したり、追放された直後に夜蜻蛉へ勧誘したりと、良くも悪くもヴィムに強く執着する人物として描かれてきました。
しかし、なぜそこまでヴィムを気にかけているのかは、まだ詳しく分かっていません。
断章では2人の幼少期まで時間をさかのぼり、現在とはまったく違う関係から物語が始まります。
12巻ネタバレ|領主の娘ハイデマリーと使用人の息子ヴィム
過去のハイデマリーは領主の娘。一方のヴィムは、領主に仕える使用人の息子でした。現在の2人を知っていると、この関係性はなかなか意外です。現在ではハイデマリーのほうがヴィムを追いかけ回していますが、幼少期は明確にハイデマリーのほうが上の身分にあります。
しかし、領主の娘だからといってハイデマリーが自由だったわけではありません。周囲から大切にされ、何不自由ない生活を送っているように見えても、それは同時に「領主の娘として生きること」を求められる生活でもありました。
自分のために生きるというより、家のために生きる。ハイデマリーにとって恵まれた環境は、自由を奪う柵や壁のようなものでもありました。
一方、使用人の息子であるヴィムは、さらに厳しい立場に置かれています。ヴィムに求められていたのは、領主や領地の発展に役立つ人間になること。ハイデマリーのように甘やかされることもなく、ヴィムもまた自分の人生を自由に選べる環境ではありませんでした。
立場はまったく違います。
それでも2人には、
「自分のために生きることができない」
という共通点がありました。
ハイデマリーとヴィムはどのように「相棒」になったのか
そんな生活のなか、ハイデマリーは周囲の理解を得られなくても、自分がやりたい冒険へ踏み出していきます。
一方のヴィムは、最初からハイデマリーと同じ熱量を持っていたわけではありません。生きていくためには仕方がない。そんなスタンスでハイデマリーについていきます。
しかし、一緒に冒険を重ねていくなかで2人の関係は少しずつ変化。単なる「領主の娘と使用人の息子」ではなく、ヴィムは徐々にハイデマリーのパートナーともいえる立場を確立していきます。
そして、この過去編は漫画12巻時点ではまだ途中です。
なぜ現在のハイデマリーは、ストーカーと呼べるほどヴィムを追い続けているのか。
なぜヴィムには迷宮の「声」が聞こえるのか。
2人の過去と迷宮には何らかのつながりがあるのか。
これらの答えは、12巻までではまだ明らかになっていません。ただ、断章が始まるタイミングには注目したくなります。第二章のヴィムは、傀儡師を使うことで大切な人たちとの記憶まで失いながら最強へ近づいていきました。
そして100階層へ消えた直後、今度は読者にヴィムとハイデマリーの過去が描かれます。
ヴィム本人が失いつつある「大切な記憶」を、今度は読者が知っていく――。
そのように考えると、この断章は単なる過去編ではなく、「ヴィムが失ってはいけないものとは何なのか」を描く重要なエピソードにも見えてきます。
傀儡師(ペプンシュピーラー)の能力と代償をネタバレ解説
ヴィムの圧倒的な強さを語るうえで欠かせないのが、**「傀儡師(ペプンシュピーラー)」**です。初めて本格的に使用するのは、夜蜻蛉が98階層で壊滅寸前まで追い込まれた場面。
発動したヴィムは、それまで夜蜻蛉が束になっても敵わなかった真のボスを一人で圧倒します。
第一章だけを読んでいると、
「ヴィムにはこんな最強の切り札まであったのか!」
と爽快感を覚える能力です。
しかし物語が進むにつれて、傀儡師にはヴィムの人生そのものを壊しかねない代償があることが分かってきます。
傀儡師とは「自分の脳」に付与術をかける能力
ヴィムの付与術は、仲間の攻撃力や防御力を高めるだけではありません。傀儡師では、その付与術を自分自身の脳に使用します。
脳を極端に高速化することで、通常なら実現不可能なほど高度な思考・判断を可能にし、さらに自分の身体を「操る」ことで、頭の中で導き出した理論上の動きを現実のものにしていきます。
98階層の真のボスを単独で撃破できたのも、この傀儡師によるものです。
その後も角猿などの強敵と戦う際に使用しており、ヴィムが本気で戦うための切り札といえる能力です。
しかし、当然ながら脳を無理やり強化する行為が安全なはずはありません。
傀儡師を使うほど脳へのダメージが蓄積する
傀儡師の最大の問題は、脳への負担です。
脳へ強力な付与をかけることで、ヴィムは通常では考えられないほどの力を発揮できます。その一方で、使えば使うほど脳にはダメージが蓄積していきます。
つまり、
強くなるために傀儡師を使う
↓
脳にダメージを負う
↓
それでも強敵と戦うために、さらに強力な付与をかける
という非常に危険な能力です。
第一章では「強力だが危険な奥の手」という印象でした。
ところが第二章に入ると、その代償が想像以上に深刻なものだったことが判明します。
傀儡師の本当の代償は「記憶」を失うこと
傀儡師を使い続けたヴィムには、少しずつ異変が現れます。
そして10巻では、すでに夜蜻蛉の仲間の名前を思い出せないほど記憶の欠落が進んでいました。
ヴィムが傀儡師を使うたびに失っていたもの。
それは単なる体力や寿命ではなく、ヴィム自身の記憶だったのです。
ここで恐ろしいのは、ヴィム自身がそのことに気付いていないこと。
ヴィム自身はバフがけに失敗したら脳が破損する。破損したら死ぬ。でも自分は生きているからまだ使っても大丈夫というような考えです。
だからこそ、ハイデマリーの、
「私のことを覚えていてほしい」
という言葉が重く響きます。
記憶を捨てるほどヴィムは「最強」に近づいていく
そして11巻では、傀儡師の恐ろしさがさらに一段階進みます。
角猿との決着を求めるヴィムは、より高い戦闘能力を手に入れるため、自ら不要な記憶を切り捨てながら脳への付与を強めていきます。切り捨てているのが記憶だという自覚がないのがおそろしいところ。
その結果、ヴィムは圧倒的に強くなりました。あれほど苦戦した角猿すら、気がつけば倒してしまうほどです。
ヴィム本人は満足できません。ついには倒れた角猿を付与術で動かし、自分の好敵手として戦わせようとします。
ここまで来ると、第一章で感じた「最強の主人公が無双する爽快感」とはまったく違って見えます。
ヴィムは確かに最強へ近づいています。
しかしその代わりに、自分をヴィムたらしめていた記憶や人とのつながりを失っている。
第一章では、ヴィムの圧倒的な強さに「爽快感」を覚えた傀儡師。
第二章で本当の代償を知ったあとに残るのは、爽快感とは真逆の「喪失感」です。
最強に近づけば近づくほど、ヴィムは人間として大切なものから遠ざかっていく。これこそが、傀儡師という能力のもっとも恐ろしいところではないでしょうか。
ヴィムにとって「夜蜻蛉」とは何だったのか?
ヴィムにとって「夜蜻蛉」は、単なる新しい冒険者パーティーではありません。
「竜の翼」でまともに評価されなかったヴィムが、初めて自分を必要としてくれる仲間と出会った場所です。
それだけに第二章で何度も描かれる「夜蜻蛉で過ごしたいヴィム」と「迷宮へ行きたいヴィム」の間にある矛盾は、本作の大きなポイントだと思います。
竜の翼では評価されなかったヴィム
竜の翼にいたころのヴィムは、付与術や索敵だけでなく、報告書の作成をはじめとした雑務まで一人でこなしていました。
ところがリーダーのクロノスは、その貢献をほとんど理解していません。
月給はわずか20メルク。
最終的には「役に立たない」と判断され、パーティーから追放されてしまいます。
ヴィム自身も自己評価が低いため、自分が不当に扱われているという自覚がほとんどありませんでした。そんなヴィムの環境を一変させたのが夜蜻蛉です。
夜蜻蛉で初めて「必要とされる喜び」を知る
夜蜻蛉では、ヴィムが何かするたびに周囲の反応が違いました。正確な索敵をすれば驚かれる。付与術を使えば、その効果を正当に評価される。カミラから提示された報酬は月600メルク。
そして98階層攻略後には、正式に夜蜻蛉の一員として迎えられます。
竜の翼では「無能」とされたヴィムが、夜蜻蛉では必要な仲間として扱われるようになったのです。
ヴィム自身も、仲間から必要とされる生活に喜びを感じています。
だからこそ何度も、
「自分の居場所はここだ」
と思おうとします。
ところが、それですべてが解決するわけではありませんでした。
「夜蜻蛉が居場所」と思うたびに迷宮の声が聞こえる
第二章に入ってから、ヴィムには迷宮から謎の「声」が聞こえるようになります。
特に気になるのが、ヴィムが夜蜻蛉での生活を意識する場面です。
仲間たちと楽しい時間を過ごし、
「ここが自分の居場所だ」
と考えているはずなのに、迷宮の声は消えません。
7巻では夜蜻蛉で歓迎会まで開いてもらい、自分の居場所を再確認します。それでもヴィムは食べたものを吐き、やがて気がつけば迷宮の入口へ。止めようとするハイデマリーを振り切り、一人で99階層へ向かってしまいます。ヴィムは夜蜻蛉を嫌っているわけではありません。
むしろ仲間たちとの生活を大切に思っているからこそ、この行動が不気味です。
ヴィムは本当は迷宮へ行きたいと思っている?
8巻では、リタから迷宮の声について興味深い話が語られます。迷宮の声は、誰にでも聞こえるものではありません。リタによれば、心の底からその声を聞きたいと思わなければ聞くことができないものだといいます。リタ自身にも声が聞こえています。
迷宮について調査・研究を続けているリタが声を聞けることを考えると、迷宮に強く惹かれる者と「声」には何らかの関係があるように見えます。
だとすれば、ヴィムに声が聞こえ続ける理由も気になります。
夜蜻蛉で過ごしたい。
仲間から必要とされたい。
普通の生活を送りたい。
それらはヴィムの本心でしょう。
しかし同時に、ヴィムの心の奥には、
「迷宮へ行きたい」
という、それ以上に強い欲求があるのかもしれません。
実際にヴィムは、角猿との命懸けの戦いに強く惹かれ、最後には仲間との記憶まで切り捨てながら99階層へ向かいます。角猿を倒したあとも夜蜻蛉へは戻らず、そのまま100階層へ。
「夜蜻蛉が自分の居場所だ」と何度も確認していたヴィムが、最終的に選んだ場所は迷宮のさらに奥でした。
夜蜻蛉と迷宮――ヴィムの本当の居場所はどちらなのか
では、夜蜻蛉はヴィムの本当の居場所ではなかったのでしょうか。個人的には、そう単純な話ではないと思います。
夜蜻蛉でヴィムが感じていた喜びも、仲間たちを大切に思う気持ちも本物だったはずです。
だからこそ、ヴィムが傀儡師によってその記憶を失っていくことに「喪失感」が生まれます。
問題なのは、夜蜻蛉を大切に思う気持ちと、迷宮へ惹かれる気持ちがヴィムのなかで同時に存在していることです。
「人として幸せに暮らせる場所」が夜蜻蛉なら、「自分の本能が求めている場所」が迷宮なのかもしれません。
そして現在のヴィムは、少しずつ迷宮の奥へ引き寄せられています。
夜蜻蛉と迷宮。
ヴィムが最後にどちらを「自分の居場所」として選ぶのか。
これは『雑用付与術師』の今後を読むうえでも、大きなポイントになりそうです。
迷宮の「声」と4巻の黒い存在は何者?
『雑用付与術師』で、傀儡師と並んで気になる謎が迷宮から聞こえる「声」です。
ヴィムには物語の途中から謎の声が聞こえるようになり、次第に迷宮の奥へと引き寄せられていきます。
さらに4巻では、大きな卵のようなものと「黒い人影」が登場。
この黒い存在と迷宮の声には何らかの関係があるようにも見えますが、漫画12巻時点では正体も関係性も明らかになっていません。
ここでは、12巻までに分かっている情報から整理してみます。
4巻に登場した「黒い人影」の正体は不明
謎の黒い存在が登場するのは、第一章終盤となる4巻です。
98階層で真のボスを単独撃破した直後に描かれるのが、現実とは異なる精神世界のような場面です。
そこには割れた大きな卵のようなものがあり、そこから出てきたかのような黒い人型のモヤのような存在が現れます。
黒い存在はヴィムに何かを語りかけますが、使われているのは読者にも理解できない謎の言葉。
そして第一章は終了します。
かなり意味深な場面ですが、漫画12巻まで読んでも、
「あの黒い存在は○○だった」
という明確な答えは出ていません。
ただしこれ以降の第二章から、ヴィムには迷宮の声が聞こえるようになっていきます。
黒い人影は「迷宮の声」が具現化したもの?
4巻以降の展開を考えると、一つ気になる可能性があります。
黒い存在は、ヴィムが聞くようになる「迷宮の声」と関係しているのではないかというものです。ヴィムにはその後、何度も謎の声が聞こえます。しかも声が強く意識されるようになるにつれて、ヴィム自身も迷宮へと強く惹かれていきます。
4巻の黒い存在が迷宮そのものなのか。
迷宮の声を発している存在なのか。
あるいはまったく別の何かなのか。
現時点では判断できません。
ただ、4巻で突如として現れた黒い存在と、その後繰り返される迷宮の声がまったく無関係とも考えにくい描かれ方ではあります。
「黒い存在=迷宮の声」と断定することはできませんが、今後の伏線回収を待ちたいポイントです。
迷宮の声は「聞きたい者」にしか聞こえない
迷宮の声について大きなヒントが出るのが8巻です。
黄金の梟を率いるリタ=ハインケスは迷宮について研究を続けており、その声についても分析しています。そしてリタによれば、迷宮の声は単純に迷宮へ入れば聞こえるものではなく、心の底から「聞きたい」と思わなければ聞くことができないものらしいのです。
実際、リタ自身にも迷宮の声が聞こえています。リタは調査団を名乗って迷宮の研究を続けるほど、迷宮そのものに強い関心を持っている人物。そんなリタに声が聞こえていることを考えると、迷宮への強い興味や欲求が「声を聞くための条件」になっている可能性があります。
そして、この条件をヴィムに当てはめると非常に意味深です。
ヴィムに声が聞こえるのは「迷宮へ行きたい」から?
ヴィムは何度も「夜蜻蛉が自分の居場所だ」と思おうとしています。
夜蜻蛉では能力を認められ、仲間から必要とされ、竜の翼では得られなかった幸せな生活を手に入れました。それでも迷宮の声は聞こえ続けます。
角猿との戦いに夢中になり、夜蜻蛉へ戻ることさえどうでもよくなりかける。
歓迎会を開いてもらったあとでさえ迷宮に引き寄せられ、ハイデマリーの制止を振り切って99階層へ向かう。
最終的には角猿を倒しても帰還せず、そのまま100階層へ進んでしまいます。
リタの話がヴィムにも当てはまるのであれば、
迷宮が一方的にヴィムを呼んでいるだけではない。
むしろヴィム自身が心の奥底で迷宮を求めているからこそ、その声を聞くことができる――とも考えられます。
「夜蜻蛉で暮らしたい」という気持ちと、「迷宮の奥へ行きたい」という気持ち。
ヴィム自身も理解しきれていない二つの欲求が、迷宮の声という形で表れているのかもしれません。
迷宮の声と黒い存在は今後の重要な伏線?
漫画12巻時点では、まだ分からないことばかりです。
- 4巻に登場した黒い人影は何者なのか
- 大きな「卵」のようなものは何なのか
- 黒い存在と迷宮の声は同じものなのか
- なぜヴィムとリタには声が聞こえるのか
- なぜヴィムはこれほど迷宮に惹かれているのか
そして12巻では、物語がヴィムとハイデマリーの過去へさかのぼっています。
ヴィムが迷宮に惹かれる理由や、ハイデマリーが現在のようにヴィムを追い続けるようになった理由も、まだ明かされていません。
この過去が「迷宮の声」や4巻の黒い存在にまでつながってくるのかは分かりませんが、今後注目したいところです。
ハイデマリーはなぜヴィムをストーキングしている?
『雑用付与術師』の序盤から謎なのが、ハイデマリーはなぜヴィムをストーキングしているのか?という点です。
ヴィムの行動を監視し、竜の翼を追放されたタイミングを見計らって夜蜻蛉へ勧誘。
ヴィムが行方不明になれば、その居場所まで突き止めます。
序盤ではコメディとして描かれることが多く、「ヴィムのことが好きだから」で済ませても違和感はありません。
しかし物語が進むにつれて、ハイデマリーがヴィムを追い続ける理由には、2人の過去に何か大きな出来事があったのではないかと思わせる描写が増えてきます。
5巻ですでにストーキングの理由を聞かれている
実は5巻では、夜蜻蛉のアーベルがハイデマリー本人にこの疑問をぶつけています。
なぜヴィムをストーキングしているのか。
それほど気になるのであれば、直接ヴィムと話せばいいのではないか。
もっともな疑問です。
しかし、これを聞かれたハイデマリーの反応が意味深でした。ハイデマリーは過去を思い出します。回想自体はわずか1コマ。
具体的に何が起きているのかは描かれず、背景とともに、
「ヴィム? ねぇヴィム 何でだよ 何でさあ君が」
というハイデマリーの言葉だけが描かれます。
そして結局、アーベルには詳しい事情を説明せず、
「いろいろあるんだよ」
と答えるだけでした。
つまり少なくとも5巻の時点で、ハイデマリーのストーキングには過去のヴィムとの出来事が関係していることが示唆されています。
「私のことを覚えていてほしい」という言葉も意味深
さらに重要なのが10巻です。
傀儡師の影響によってヴィムの記憶が失われ始め、夜蜻蛉の仲間の名前さえ思い出せなくなっていきます。
そんなヴィムにハイデマリーが伝えたのが、
「私のことを覚えていてほしい」
という言葉です。
この時点では、ヴィム本人にはその言葉の重さがよく分かっていません。
しかし5巻の回想と合わせると、印象が変わります。過去にヴィムとの間で何かが起きた。その出来事をきっかけにハイデマリーはヴィムを追い続けている。そして現在、そのヴィムが今度は記憶そのものを失おうとしている。
だからこそ「私のことを覚えていてほしい」という言葉には、単なる恋愛感情以上のものが込められているようにも感じます。
12巻でヴィムとハイデマリーの過去編がスタート
そして11巻後半から12巻にかけて、ついにヴィムとハイデマリーの過去が描かれ始めました。
幼いころのハイデマリーは領主の娘。
対するヴィムは、使用人の息子です。
現在ではハイデマリーがヴィムを追い回していますが、幼少期の立場だけを考えればむしろ逆。ハイデマリーが圧倒的に上の立場にいます。
それでも一緒に冒険をするなかで、ヴィムは単なる使用人の息子ではなく、少しずつハイデマリーの「相棒」と呼べる存在になっていきます。
では、そんな2人の間にその後何が起こったのでしょうか。
漫画12巻では過去編の途中までしか描かれておらず、ハイデマリーが現在のようにヴィムを追い続けるようになった決定的な理由までは判明していません。
ストーキングはギャグではなく伏線だった?
序盤だけなら、ハイデマリーのストーキングは彼女のキャラクターを印象づけるギャグにも見えます。
しかし、
5巻の謎の回想
→10巻の「私のことを覚えていてほしい」
→11~12巻の過去編
と並べてみると、すべてが一本につながっている可能性があります。
特に第二章では、ヴィムが戦いにのめり込み、ハイデマリーの制止を振り切って迷宮へ向かう場面も描かれました。
もし過去にもヴィムが命を失いかねない出来事があったのだとすれば、ハイデマリーにとって現在の状況は「またヴィムを失うかもしれない」恐怖そのものなのかもしれません。
なぜハイデマリーはヴィムをストーキングするのか。
なぜ直接話すのではなく、遠くから見守り続けていたのか。
5巻の回想で何が起きていたのか。
そして、なぜ「私のことを覚えていてほしい」と願ったのか。
12巻から始まった過去編は、ハイデマリー最大の謎を回収するエピソードになりそうです。
クロノスはその後どうなった?ヴィム追放から決着まで
ヴィムを「役に立たない」と判断し、「竜の翼」から追放したリーダーのクロノス。
追放ものでは定番ともいえる「主人公を追放した側はその後どうなったのか?」という点も、『雑用付与術師』ではしっかり描かれています。
結論からいうと、クロノスはヴィムを追放したあと徐々に追い詰められ、闇地図に手を出したことで破滅。最後はヴィムとの一騎打ちにも敗れ、憲兵に捕まっています。
ヴィムを「無能」と判断して竜の翼から追放
物語開始時、ヴィムは「竜の翼」に所属していました。
しかしリーダーのクロノスは、ヴィムがパーティーへどれだけ貢献しているのか理解していません。
ヴィムを「役に立たない」と判断し、最終的にはパーティーから追放してしまいます。
無能だと思っていたヴィムが97階層のボスにとどめを刺したという事実が許せなかった側面が強いのかもしれません。
ヴィムを失った竜の翼は実力不足を露呈
一方、追放されたヴィムは夜蜻蛉へ加入。
98階層の真のボスを単独で撃破し、一気に評価を高めていきます。
クロノスは「ヴィムが98階層のボスを一人で倒した」という話を聞いても、まったく信じようとしません。
そして竜の翼も負けじと99階層へ挑戦します。
しかし結果は壊滅。
クロノスたちは、99階層へ挑めるだけの実力に達していなかったことを突きつけられます。
ここからクロノスは、ヴィムを追放した自分の判断を見直すのではなく、さらに名声へ執着する方向へ進んでいきます。
黄金の梟から「闇地図」を入手して99階層を攻略
99階層で壊滅したクロノスを救ったのが、黄金の梟でした。
その後、竜の翼は新たなメンバーを増やし、再び99階層を攻略。
以前はあっという間に壊滅したにもかかわらず、今度は不自然なほど順調に進んでいきます。
その理由が「闇地図」です。黄金の梟から闇地図を入手することで、竜の翼は未攻略階層の情報を事前に手に入れていました。こうしてクロノスは再び名声を得ます。
しかし当然、それは正当な方法で手に入れた成果ではありません。
闇地図の使用が発覚!竜の翼は崩壊する
9巻では、ソフィーアからヴィムへ竜の翼と黄金の梟による闇地図の取引記録が提示されます。
そして竜の翼が闇地図を使用していたという話が広がり、ついにギルドだけでなく憲兵団まで動き出します。事態を知ったヴィムも、急いで竜の翼のパーティーハウスへ。
しかし到着したときには、すでにパーティーハウスは炎に包まれていました。
竜の翼のメンバーは次々と捕縛。
唯一逃げ出したのがクロノスです。
クロノスは憲兵団の人間を斬りつけて逃走。
その際にヴィムと目が合うと、むき出しの殺意をヴィムへ向けます。
ここまで来ると、クロノスのなかでは自分が転落した原因そのものがヴィムになっていたのでしょう。
クロノスはすべてを失いヴィムへ逆恨み
しかし、ヴィムはクロノスを破滅させようとして行動していたわけではありません。
97階層の攻略についても、ヴィムは自分の功績として扱われることを望まず、竜の翼の功績として認めています。
ラウラを助けたのも、闇地図の不正を暴くためではありません。目の前で倒れていたラウラを放っておけなかったからです。
ソフィーアに魔力印を渡したときも、クロノスへの復讐が目的ではありませんでした。
それでも結果だけを見れば、
ヴィムが評価されるほど、クロノスは転落していく。
クロノスにとってヴィムは、自分が欲しかったものを次々と奪っていく存在のように見えていたのかもしれません。
こうしてクロノスの憎しみは、完全にヴィムへ向かいます。
10巻でヴィムVSクロノスが決着
逃亡したクロノスは10巻でヴィムを呼び出し、ついに一騎打ちとなります。
ヴィムを追放した男と、追放された男。物語序盤から続いてきた因縁の決着です。
しかし実力差は歴然。ヴィムの圧勝でした。クロノスは最後までヴィムを倒すことができず、戦いのあとにはヴィムが呼んでいた憲兵が到着。逃亡を続けていたクロノスは、ついに憲兵に捕まります。
これでヴィムとクロノスの因縁にも決着がつきました。
名声を求めたクロノスと普通の幸せを求めたヴィム
クロノス編で面白いのは、単なる「追放した側へのざまぁ」だけではありません。
クロノスが求めていたのは名声でした。より深い階層を攻略し、周囲から称賛されたい。そのために無理な99階層攻略へ挑み、最後には闇地図にまで手を出してしまいます。
対するヴィムが求めていたものは、もっとささやかなものでした。竜の翼にいたころも、大きな名声が欲しかったわけではありません。自分の仕事を認めてもらい、リーダーから少し褒めてもらう。
それだけでもヴィムは満足できたはずです。
ところが皮肉にも、
名声を追い求めたクロノスはすべてを失い、名声を求めていなかったヴィムが97・98階層攻略の英雄として評価されていく。
しかもヴィムは、クロノスを蹴落としてその地位を手に入れようとしたわけでもありません。ただ自分のできることをしていただけです。ヴィムを追放したことから始まったクロノスの転落は、10巻でついに決着。
しかしそのころヴィム自身も、傀儡師によって大切な記憶を失い始めています。
クロノスに勝ったからといって、ヴィムが幸せになったわけではない。
ここでも『雑用付与術師』は、単純な「追放ざまぁ」だけでは終わらない物語になっています。
『雑用付与術師』ネタバレについてよくある質問
『雑用付与術師が自分の最強に気付くまで』のネタバレについて、漫画12巻までの内容をもとによくある疑問をまとめました。
- Qヴィムは本当に最強?
- A
ヴィムは付与術師として規格外の能力を持っており、「傀儡師(ペプンシュピーラー)」を発動すれば戦闘能力も飛躍的に上昇します。
98階層の真のボスを単独撃破し、99階層では強敵・角猿も撃破しました。
ただし、100階層ではボスの竜に圧倒されています。そのため、漫画12巻時点で「作中最強」と断定できるわけではありません。
- Q傀儡師(ペプンシュピーラー)とは?
- A
傀儡師は、ヴィムが自分自身の脳に付与術をかける能力です。
脳を高速化し、自分の身体を高度にコントロールすることで、本来なら実現困難な動きまで可能にします。
ヴィムが98階層の真のボスや角猿と戦えたのも、傀儡師によるところが大きいです。
- Q傀儡師の代償は?
- A
傀儡師は脳に大きな負担をかけるため、使用するほどヴィムにダメージが蓄積します。
特に重大なのが記憶の喪失です。
物語が進むにつれて夜蜻蛉の仲間の名前を思い出せなくなり、11巻では戦闘能力をさらに高めるため、ハイデマリーやカミラとの記憶まで切り捨てる描写があります。
ヴィムを「最強」へ近づける一方、大切な人との思い出を奪っていく危険な能力です。
- Qヴィムは記憶喪失になった?
- A
10巻では夜蜻蛉の仲間の名前を思い出せない状態になり、11巻ではハイデマリーやカミラとの記憶を自ら切り捨てています。
一方、100階層で「青い薔薇」を見た際には、何かを思い出しかけるような反応も見せています。失われた記憶を取り戻せるのかは、今後の注目ポイントです。
- Q角猿は死亡した?
- A
99階層の強敵・角猿は、11巻でヴィムとの決着を迎えます。記憶を切り捨てながら傀儡師を強化したヴィムは、角猿を圧倒。
最後には倒れた角猿を付与術で動かしてまで戦いを続け、最終的に撃破しています。その後ヴィムは、角猿のいる99階層を越えて100階層へ進んでいます。
- Q4巻や11巻の黒い人影は何者?
- A
4巻では98階層の真のボスを倒したあと、精神世界のような場所に大きな卵と黒い人影が登場します。
その後、11巻の角猿撃破直後にも登場しています。漫画12巻時点では正体についての言及はありません。
- Qクロノスはその後どうなった?
- A
クロノス率いる「竜の翼」は、黄金の梟から入手した「闇地図」を利用していたことが発覚します。
9巻では憲兵団とギルドが動き、竜の翼のメンバーは捕縛。クロノスだけは憲兵を斬りつけて逃亡します。その後10巻でヴィムと一騎打ちを行いますが、ヴィムが圧勝。
最後はヴィムが呼んでいた憲兵に捕まり、2人の因縁に決着がつきます。
- Qリタ=ハインケスの正体は?
- A
リタ=ハインケスは当初、迷宮を研究するギルドの調査団としてヴィムの前に現れます。
しかし、その正体は「黄金の梟(ミナーヴァ・アカイア)」のリーダーです。
リタ自身にも迷宮の「声」が聞こえており、同じく声を聞くヴィムを「同胞」と呼んで自分たちの側へ勧誘しています。
- Qハイデマリーとヴィムはどんな関係?
- A
ハイデマリーとヴィムは同郷で、幼少期からの知り合いです。
12巻の過去編では、ハイデマリーが領主の娘、ヴィムが使用人の息子だったことが明らかになっています。一緒に冒険を重ねるなかで、ヴィムは徐々にハイデマリーの相棒とも呼べる存在になっていきます。
ただし、なぜ現在のハイデマリーがヴィムをストーキングするほど気にかけているのか、その決定的な理由はまだ判明していません。
- Q迷宮の声は何?
- A
迷宮の声の正体は、漫画12巻時点では不明です。
リタによると、心の底から聞きたいと思わなければ聞くことができないものとされています。ヴィムが何度も「夜蜻蛉が自分の居場所だ」と思いながら迷宮へ戻ってしまうことから、ヴィム自身が心の奥で迷宮を求めていることと関係している可能性があります。
- Q『雑用付与術師』は漫画12巻で完結している?
- A
完結していません。
12巻では「断章」としてヴィムとハイデマリーの過去編が描かれており、物語は途中です。
現在のヴィムは記憶を取り戻せるのか、100階層の竜、迷宮とは何なのかなど、まだ多くの謎が残されています。
まとめ|『雑用付与術師』は「最強になって終わり」の物語ではない
『雑用付与術師が自分の最強に気付くまで』漫画1~12巻のネタバレをまとめました。
物語序盤は、竜の翼を追放されたヴィムが夜蜻蛉で実力を認められていく、王道の「追放→無自覚無双」を楽しめます。
しかし物語が進むにつれて、その印象は大きく変わります。
傀儡師を使えば使うほど失われていく記憶。
夜蜻蛉という居場所を手に入れても聞こえ続ける迷宮の声。
そして大切な人との記憶まで切り捨て、最強へ近づいていくヴィム。
第一章で感じた「爽快感」は、第二章になると徐々に「喪失感」へ変わっていきました。
結局、何もかも失って最強へ近づいても待っているのは死ですから・・・
果たしてヴィムは失ったものを取り戻せるのか。今後の展開にも注目です。
なお、本記事では物語のネタバレを中心に解説しました。
登場人物・漫画や小説の刊行状況・アニメ情報など、作品全体について知りたい方は、以下の記事でまとめています。














