辺境の小さな村に、まさかの国王本人が訪れる――。
フォレストドラゴン討伐の余波は、ついに王国中枢を動かし、「お気楽領主」の物語は村単位の話から国家間の緊張へと一気にスケールアップする。
内政無双の延長線上にある“政治と戦争”の気配が色濃く漂う、シリーズの転換点となる一冊だ。
7巻の収録話と内容紹介
7巻は第32話~第36話までを収録。
第32話から第36話では、スクーデリア王国国王ディーノが自らヴァンの村を訪れるところから物語が始まる。
ドラゴン討伐やダンジョン発見の真偽を確かめるため、国王・宰相・王子、そして多数の護衛が同行する異例の視察だ。
城壁やバリスタ、生産魔術による建設風景を実演で見せられた国王は、次第にヴァンの能力を疑うことをやめ、むしろ恐れと評価を同時に抱くようになる。
さらに湖の小屋で幻の種族アプカルルと邂逅し、王国としての友好関係まで築かれていく。
しかし穏やかな視察は長く続かない。
敵対国イェリネッタ王国によるワイバーン襲撃が発覚し、辺境の村は一気に国家間紛争の最前線へ。
最終的にヴァンは、男爵として国防戦への参加を命じられ、難攻不落とされる城塞都市スクデット防衛戦へ向かう――が、到着時にはすでに城は突破されていた、という不穏な幕引きで巻は終わる。
登場人物の動き・印象
これまでの「優秀な辺境領主」から、「国王が直々に評価せざるを得ない規格外の存在」へと立場が変化。
本人は一貫してスローライフ志向だが、その能力が国にとって危険すぎるほど有用であることが、はっきり示された。
実力主義の王らしく、ヴァンを年齢や身分で判断しない。
同時に、縛りつければ敵に回りかねない“爆弾”として慎重に扱う冷静さも印象的だった。
ヴァン不在を見据え、戦力を分けて行動する段階へ。
仲間たちが単なる補佐役から「独立して村を任される存在」になりつつあることを感じさせる。
7巻の見どころ・印象に残った展開
第7巻の見どころは、ヴァンの“チート能力披露”そのものよりも、それを国家がどう受け止めたかにある。
個人の無双が、政治と戦争の文脈に組み込まれていく過程が丁寧に描かれている。
国王来訪という異例の展開
調査役ではなく、国王本人が辺境まで足を運ぶという時点で異常事態。
ヴァンの存在が、すでに王都で無視できないレベルに達していることが一発で伝わる導入だった。
生産魔術のお披露目と「信じる努力」
十連射式バリスタの即席製作や城壁建設の実演は爽快。
同時に、「信じられないのが普通」という空気が、ヴァンの異常性をより際立たせている。
他国侵攻と物語のスケール変化
ワイバーン襲撃から一気に明らかになる国家間の思惑。
これまでの“領地防衛”が、前哨戦に過ぎなかったことを突きつけられる展開だ。
スクデット陥落という不穏なラスト
到着前に落ちている城塞都市。
ヴァンの参戦すら間に合わなかった事実が、次巻への緊張感を最大限に高めている。
7巻全体のテーマ・考察
第7巻のテーマは、「才能は隠れて生きられない」という一点に集約される。
どれだけ辺境で静かに暮らそうとしても、規格外の力は必ず政治と戦争に巻き込まれる。
タイトルから想像されるお気楽な領地経営譚は、この巻で完全に次のフェーズへ。
ヴァンの物語は、“領地を守る話”から、“国をどう関わるか”という重い問いへ踏み込んだ。
まとめ
国王来訪というインパクトに始まり、国家間紛争への強制参加で終わる第7巻。
内政無双の爽快感を残しつつ、物語の緊張感は一段階引き上げられた。
スクデット防衛戦はどうなるのか。
ヴァンは本当に「お気楽領主」でい続けられるのか。
次巻では、これまで積み上げてきた領地経営の成果が、戦争という舞台で試されることになりそうだ。



