箱庭ゲームのように村を育てる楽しさと、無人島でのリアルな生存生活。
その二重構造が本作第1巻の最大の魅力だ。
前世では病弱で短い人生を終えた少年カイが、異世界で「神の祝福」を受ける。しかし待っていたのは英雄譚ではなく、まさかの邪神認定と無人島送り。
“てのひらの村”というゲーム的能力を武器に、追放先で生き抜く物語が幕を開ける。
システム×開拓×ヒロイン(?)登場。
1巻は、世界観と物語の方向性を提示する「始まりの巻」だ。
1巻の収録話と内容紹介
1巻は第1話~第6話を収録。
第1話|転生と祝福、そして“てのひら開拓村”
前世では病院のベッドの上で箱庭ゲームに没頭していた主人公。
20歳まで生きられないと宣告された彼は、理想の街を作る妄想を支えに日々を過ごしていた。
目覚めると異世界で幼児に転生。隣には同じく転生(?)した少女ルキア。
この世界にはファーレー教という宗教があり、神の祝福を受けた者は聖印を宿す。
カイは「アラミラ」の祝福を受け、《てのひら開拓村》という能力を得る。
発動すると、まっさらな土地が広がる別空間へ転移。まさに夢に見た箱庭世界だった。
第2話|村のレベルと“初めての収穫”
てのひら開拓村にはレベルの概念がある。
最初の条件は「初めての収穫」。
試行錯誤の末、雨乞いを成功させ、1年後にさつまいもを収穫。レベル1へ到達する。
報酬として現れたのが、管理人の少女エネルと「創造の種」。
しかし現実世界では祝福の儀にて“邪神認定”。
カイは無人島のような場所へ移送されてしまう。
第3話|無人島サバイバルの始まり
魔物だらけの島。
てのひら開拓村に避難できるが、滞在は1日3時間という制限付き。
島で小屋を建て、畑を作る。
そこへ現れる謎の少女。魔物が近寄れない樹の存在。
箱庭とは別に、“リアル生存”の物語が動き出す。
第4話|アビスという少女
風邪で倒れ、死を意識するカイ。
助けてくれたのは、島で出会った少女アビス。
彼女はこの島で多くの死を見てきた過去を持つ。
距離を取っていた理由も明かされ、二人は距離を縮める。
ここで創造の種も植えられ、伏線が張られる。
第5話|創造の種が生んだ“戦士君”
創造の種から実ったのは、なんと二頭身の子供。
直感で“戦士”と感じ取ったカイは、彼を戦士君と名付ける。
労働力兼戦力としての存在。
開拓は現実世界でも進み始める。
第6話|アビスの正体
魔物との戦闘。
カイはアビスを逃がそうとするが、彼女は真の力を解放する。
アビスは人間ではなく、魔法使いを模した戦闘人形だった。
「嫌われたくなかった」
その告白に対し、カイはむしろ好意的。前世知識ゆえの価値観が活きる。
ここで本格的に、二人の共闘関係が成立する。
登場人物の動き・印象
転生者でありながら、どこか達観している主人公。
邪神認定で追放されるが、悲観よりも「どう生き延びるか」に思考が向くタイプ。
1巻では“箱庭プレイヤー”から“無人島開拓者”へ立場が変化。
最初は無口で距離を置く存在。
正体は戦闘人形という設定は意外性があり、ヒロインポジションの可能性を強く感じさせる。
「嫌われたくない」という感情描写が人間味を与えている。
開拓村の管理人。
今後のシステム解説役&癒し枠になりそうな存在。
1巻の見どころ・印象に残った展開
1巻は世界観提示の巻でありながら、しっかり山場も用意されている。
邪神認定からの無人島追放
祝福=チート無双、では終わらない。
むしろ「邪神」というレッテルで追放される展開は意外性が強い。
ここで物語は一気にサバイバル路線へ。
読者の期待をいい意味で裏切る転換点でもあり見どころ。
てのひら開拓村というゲーム的システム
レベル制、報酬アイテム、創造の種。
完全に箱庭ゲームの文法。
ただし、村人とは会話できず“神視点”に近い存在という設定が面白い。
プレイヤーでありながら干渉しきれないもどかしさがあり印象的。
アビスの正体と共闘成立
戦闘人形という設定はラノベ的王道ながら、カイの受け入れ方が軽妙で好印象。
ここでヒロイン枠が確定したと言っていいだろう。
「嫁が増えていく」というタイトル的にも、今後の広がりが見える。
1巻全体のテーマ・考察
開拓村は理想。
無人島は現実。
しかし両者は物資の持ち込みによって接続されている。
このシステムをどう活かして島を発展させていくのか。
また、邪神認定の真相も未回収。
宗教・神・祝福という設定は、後々大きな軸になる可能性が高い。
箱庭スローライフに見えて、実は世界観はかなり広がりそうだ。
まとめ
第1巻は、
・転生
・ゲーム的能力
・追放
・無人島生活
・ヒロイン登場
と、導入としてはかなり情報量が多い。
それでも読みにくさはなく、「この先どう発展するのか」という期待がしっかり残る構成になっている。
てのひら開拓村はどこまで成長するのか。
無人島は楽園になるのか。
そして“嫁たち”はいつ増えるのか。
次巻から本格的な開拓と戦闘が加速しそうな予感。
箱庭×建国ファンタジーの可能性を感じさせる、良いスタートだった。





