両津勘吉といえば“副業の天才”であり、“転落の名人”でもある!
今回のテーマはそんな両津の「副業第10弾」。芸能プロデュースからマグロ漁、果ては競馬の世界まで、金の匂いを嗅ぎつけて突っ走る3話をピックアップ。
短編ながら見応え抜群、秋本治先生の構成力が光る名エピソード集です。
作品情報・概要
| タイトル | #こち亀 111 #副業-10 |
| 作者 | 秋本治 |
| 収録巻 | 第122巻・第126巻・第137巻 |
| テーマ | 副業 |
| ジャンル | ギャグ/職業/人情コメディ |
| 掲載誌 | 週刊少年ジャンプ |
※こちら葛飾区亀有公園前派出所のエピソードを#を付けてテーマごとにカテゴライズした作品。デジタル版限定。
テーマ解説:両津勘吉の副業魂、炸裂!
両津が副業を始めると、必ず「成功→増長→破滅」の三段構成になるのが『こち亀』の妙味。
今回紹介する3話は、そのパターンを“短編の極み”として体現しています。
・第122巻ではプロデューサーとして時代を先取りする感性を発揮。
・第126巻ではマグロ漁でまさかの大金ゲット。
・第137巻では馬の世話から競馬ビジネスに発展。
どの話も発想は天才的なのに、最後は自業自得のオチが待っているという、まさに“両さんの副業美学”が詰まった構成です。
各話レビュー
話1:名プロデューサーRYOTSU(第122巻収録)
あらすじ
フォークデュオ「デコポン」のPV制作を任された両津。金の匂いを嗅ぎつけて豪華客船を貸し切り、親戚一同を集めて大宴会を開催する。
撮影は丸投げだったが、素のデコポンが見える“業界初のモザイク入りPV”がまさかの大ヒット。業界人たちから次々とオファーが舞い込み、両津は敏腕プロデューサーとして名を馳せるが…。
見どころ
豪華客船での宴会が“自然体のPV”として評価されるという、皮肉たっぷりの展開が最高。
サングラスをかけて業界人気取りをする両さんの姿は、まさに“成り上がりの象徴”。
評価ポイント
短編とは思えないテンポの良さと、最後の転落までの流れが見事。
秋本先生が20ページ弱で起承転結を完璧にまとめ上げる構成力は圧巻。
話2:「泳ぐダイヤ」を捕まえろ!(第126巻収録)
あらすじ
マグロの“時価”に疑問を持った両津は、直接釣れば安く売れると考え、寺井の船で漁へ出る。
偶然250キロの大物を釣り上げ、400万円の大金を手に入れるが、欲を出して再び海へ。
今度はマグロの群れに引っ張られ、アドリア海南方まで漂流するハメに…。
見どころ
寺井家族を“無料人員”としてうまく使う両津の計算高さに爆笑。
「趣味の釣り」と言いつつ完全に副業モード。副業系両津の真骨頂!
評価ポイント
壮大なオチが秀逸。
“儲かると思った瞬間に地獄を見る”という両津らしさが詰まっている。
副業シリーズでも屈指のスケール感を誇る一篇。
話3:馬い話には気を付けて!(第137巻収録)
あらすじ
競馬の予想屋をしていたところを部長に見つかり、懲罰として警視庁の馬の世話を命じられる両津。
しかし、馬たちは元競走馬であることが発覚。草レースで賞金を稼ぎ始める両津だが、次第に金の亡者へと変貌していく。
見どころ
馬たちを旧名で呼ぶ両津の知識量に周囲が驚愕。
最初は愛情深く接していたのに、儲け始めるとすぐ“金、金、金”。人間臭さ全開!
評価ポイント
ヒヒンリンガルによる“馬の告発”オチが秀逸。
部長の「おまえが馬で出ろ!」というツッコミで締めるテンポが完璧。
ギャグとしての完成度が非常に高い一話。
こんな人におすすめ
- 両津の「成り上がり→転落」の美しい流れが好きな人
- 仕事や副業に“妙なリアリティ”を感じるこち亀回を読みたい人
- 一話完結でテンポのいいギャグが読みたい人
まとめ
“副業”というテーマは、両津勘吉というキャラクターの魅力を最も端的に表すジャンル。
一瞬で成功を掴み、最終的に盛大に爆発するまでがテンプレであり芸術。
この巻では、秋本治先生の構成力とテンポ感、そして両津の人間味が凝縮されている。
ギャグとして笑いながらも、どこか「自分もやりそう…」と共感してしまうあたりが、『こち亀』の真骨頂だ。





