第4巻では、エセリアがついに「悪役令嬢として嫌われる」ための行動を本格化させる。
音楽祭という華やかなイベントの裏で進むのは、グラディクトとアリステアの関係強化、そして周囲からの静かな孤立。
表では優雅に、裏では冷静に盤面を動かす――この巻は、エセリアの戦略家としての顔が最もはっきり描かれる一冊だ。
4巻の収録話と内容紹介
4巻は14~18話を収録。
第14話~第16話:悪役令嬢ムーブ、仕込み完了
グラディクトとアリステアが親密に過ごす姿が学園内で目撃されるようになる中、エセリアは「そろそろ頃合い」と判断。
表向きには嫌味と皮肉を口にしつつ、裏では仲間たちと連携し、アリステアとグラディクトに“エセリア=悪役令嬢”という印象を植え付けていく。
シレイアやローダスが変装した架空の人物を使い、悪評を自然に流す手法は実に計画的。
グラディクトとアリステアはそれを疑うことなく受け取り、エセリアへの不信感を強めていく。
第17話~第18話:音楽祭と決定的なすれ違い
音楽祭に向けた準備が進む中、エセリアはマリーリカと共に参加を決意。
一方、グラディクトはアリステアを“輝かせる”ことに執着し、周囲への配慮を失っていく。
音楽祭当日、エセリアとマリーリカの演奏は大絶賛。
その後に続くアリステアの演奏は悪くはないものの、結果的に場の空気を読めない長時間公演となり、観客は次々と退席。
グラディクトはその原因をエセリアの存在に求め、敵意をさらに募らせるのだった。
登場人物の動き・印象
「嫌われるための悪役」を完璧に演じ始める。冷酷に見えて、その実すべては計算と責任感の上に成り立っている。
アリステアへの執着が強まり、判断力が低下。味方を切り捨て、徐々に孤立していく姿が目立つ。
善意と自己満足が噛み合わず、結果的に周囲から浮いていく。本人は成功しているつもりなのが皮肉。
エセリアとの信頼関係がより明確に。だがエセリアが婚約破棄を狙っていることをまだ知らない。
4巻の見どころ・印象に残った展開
第4巻の見どころは、事件の派手さではなく、人間関係の歪みが少しずつ可視化されていく過程にある。
エセリアの計算された悪役令嬢ムーブと、それに無自覚に飲み込まれていくグラディクトとアリステア。
音楽祭という華やかな舞台の裏で、評価と立場が静かに反転していくのが印象的だ。
悪役令嬢を「演じきる」エセリアの覚悟
この巻で特に印象的なのは、エセリアがついに
「誤解されることを前提に動く」段階へ踏み込んだ点だ。
嫌味や冷たい態度、陰で流される悪評。
それらはすべて、婚約解消というゴールから逆算された行動であり、自分の評価が下がることすら織り込み済みの振る舞いである。
着実にグラディクトルートの結末から遠ざかっている感があり印象的。
音楽祭が暴いた、王太子グラディクトの限界
音楽祭エピソードは、グラディクトの王太子としての資質を浮き彫りにする装置として機能している。
アリステアを輝かせたい一心で、音楽室の独占、側付きの解雇、周囲への配慮を欠いた判断を重ねていくグラディクト。
本人は「守っている」「支えている」つもりでも、その行動は結果として人を遠ざけ、孤立を深めるものになっている。
王太子の地位も危ういか・・・
そう思えるほど傍若無人に振舞う姿は見どころ。
音楽祭という舞台で起きた“評価の反転”
音楽祭当日の展開は、本作らしい皮肉が詰まった名シーンだ。
エセリアとマリーリカの演奏は、地道な練習の成果もあり高評価。
一方で、アリステアの演奏は決して下手ではないが、空気を読まない長時間演奏によって、観客の興味を失っていく。
本人は「音楽に親しんでもらえたらそれで満足」と語るが、周囲の生徒たちにとっては、退場のBGM扱いという辛辣な結果に。
このズレが、アリステアというキャラクターの危うさを端的に表しており面白かった。
まとめ
第4巻は、婚約解消へ向けた「空気づくり」がほぼ完成した巻と言える。
エセリアの周到な準備と引き換えに、グラディクトとアリステアは確実に孤立していく。
次巻では、いよいよ表立った決断や衝突が描かれるはず。
ここまで積み上げてきた“悪役令嬢ムーブ”が、どんな形で結実するのか――続きを待たずにはいられない。



