『無限ガチャ』第12巻では、舞台がドワーフ王国へと移り、鍛冶職人ナーノの過去と新たな遺跡探索が描かれます。
探求心に憑かれた王や禁忌の本を手にした職人、そして“無限に復活するゴーレム”が登場。
世界の真相に近づくスケール感と、ドワーフ特有のコミカルなテンポが同居する、まさに“息抜きと伏線のハイブリッド巻”です。
12巻の収録話と内容紹介
収録話:第86話〜第92話+番外編
第86話
ドワーフ種・ナーノの過去が描かれる。孤児院出身ながら鍛冶師として順風満帆の人生を歩み、“伝説の武器を作る”という夢を追っていた。
だが、夢は遠く、現実は厳しい。そんな彼のもとに現れたのが行商人カヴァー。彼が売る禁忌武具製造本を手にしたナーノは、夢と禁忌の狭間で運命を狂わせていく。
最後の1コマでカヴァーが呟く「これで巨塔側はどう動くかな?」が、不穏な伏線を残す。
第87話
ライトたちはドワーフ王国がどれほど“ますたー”情報を持つかを探るため、王ダガンとの会談を画策。
潜入したネムムの働きで、王が「研究以外興味なし」という超マイペース人格であることが判明。
幻想級アイテムを提示した瞬間、空気が一変して会談成立――緊張から一気にギャグ路線へ転じる展開が印象的。
第88話
ライトとダガンの会談が実現。
竜人種と魔人種が“ますたー”情報を最も多く持つと判明し、過去文明遺跡の存在が語られる。
ダガンは「この世界には種族を超越した神のような存在がいる」と仮説を立て、ライトは遺跡攻略を決断する。
第89話
ライト、メイ、ナズナ、メラ、ジャック、スズ、そしてダガン一行が遺跡へ突入。遺跡は巨大な大穴を中心に、底の見えない異空間。
探索中、ナズナが好奇心で柱を触った瞬間、ポロッと破片が取れてしまうというコメディシーンも。
分析用に破片を受け取ったダガンが「ハアハア…!」と興奮する姿が完全に探求バカで笑える。
第90話
大穴を降りた先には、草原や森が広がる超広大な地下世界。
メラが探査を始めるが、100体以上のストーンゴーレムが出現。スズが一瞬で殲滅するも、即座に復活。
普通はコアを壊せば再生しないはずが、なぜか再び活動を始める。
第91話
ライトがゴーレムを回収・解体すると、驚くべきことに“コアが存在しない”と判明。
結局この地下空間そのものがコア――という衝撃の真実が明らかに。
第92話
無限に湧くゴーレムに対し、ライトは無限ガチャで蜘蛛糸状の粘着物質を展開し、全体の動きを封じる。
メラがさらに下層へと続く階段を発見し、一行は次なる階層へ。
降りた先に広がっていたのは、なんと海。
自然の理を超えたこの遺跡に、ライトは“人知を超えた存在”の影を感じ取る――。
番外編
ユメとナズナを中心とした奈落での日常が描かれる。
前半はアネリアも登場しコメディタッチに進行し、後半はライトも登場し兄弟水入らずのシリアスな展開に。
登場人物の動き・印象
外交と情報戦を軸に動く。エリー参謀のもと知略タイプとしての側面が強調され、戦闘以外の面でも成長が見える。
現ドワーフ国の王。完全なる探求バカ。じゃんけんで王になったという経歴すらギャグ要素に変える強キャラ。
過去遺跡の探索メンバーに抜擢。過剰戦力ともいえる豪華な顔ぶれ。
夢を追い求める情熱が、禁忌に手を伸ばす悲劇へと変わる。物語の新たな“歪みの核”となりそう。
謎多き行商人。発言から巨塔側の敵対者か!?
12巻の見どころ・印象に残った展開
果てしなく広がる遺跡の地下世界、そして“コアなきゴーレム”という異常現象──。
12巻では、探索チームが未知の領域へと踏み込み、これまでの常識を覆すスケールの謎に直面する。
緊張と笑いが交錯するドワーフ王との会談から、一転して絶望的な遺跡戦へ。物語は次なるステージへと突入し、「無限ガチャ」の真価が再び試される。
ナーノとカヴァーの出会いが導く「禁忌の始まり」
ナーノの夢と絶望、そこへ現れるカヴァーの存在が不穏。
「巨塔側」というカヴァーの言葉が物語の裏軸に加わり、世界構造の広がりを感じさせる。
ドワーフ王ダガンの“研究、探求バカ”ぶりが最高
会談前の緊張ムードから一転、幻想級アイテムの提示で即陥落。
じゃんけんで王になった経歴も含め、ギャグセンスが炸裂する名場面。
自身の興味あることには真っ直ぐな性格が好感度大。
過去文明遺跡の異様なスケール
地下に広がる草原、森、そして次の階層には海。
世界の法則を無視した構造が、“神の手による遺跡”の存在を裏付ける。
ストーンゴーレムの「無限再生」も、その管理機構の一端に見える。
巻全体のテーマ・考察
第12巻のテーマは「探求と世界の真理」。夢や知識を追う者たちは、同時に“禁忌”に触れる危険を抱える。
ナーノが闇堕ちしていく一方で、ライトは知略と冷静さで真理を探る。二人がどう絡んでいくのか・・・
そして遺跡の構造やゴーレムの性質は、神のような上位存在の介在を強く示唆している。
カヴァーが語る「巨塔側」という発言も明らかに敵対者。
物語は“神と人の境界”に迫る段階へ突入したのかもしれない。
まとめ
新たな勢力、未知の遺跡、禁忌の技術――。
第12巻は物語全体のスケールを一気に広げる重要巻でした。コミカルで軽快なテンポの裏に、確実に暗雲が漂い始める。
てっきりナーノにサクッと復讐して終わる巻だと思いましたが、いい意味で裏切られた格好。次巻も予測不能な展開を期待したい。





