『無限ガチャ』第8巻では、ライトがついにソウルドラゴンとの決戦の舞台へと足を踏み入れる。
妹を思わせる少女・モモとの出会い、そしてユドたち「孤島の剣」との再会と戦闘を経て、物語は静かに、しかし確実に次なる転換点へと進む。
幻影に心を試されながらも、自らの使命を見失わないライトの姿に、“復讐者”としての覚悟がより深く刻まれる巻だ。
8巻収録話と内容紹介
8巻は第54話~第61話収録。
ライトはソウルドラゴンとの戦いに備え、奈落のカード保管庫で膨大なカードを準備する。管理を担う兄妹・アネリアとアルスが新たに登場し、ライトは再びダンジョンへ。
道中、モンスターに襲われる少女・モモを救うが、彼女はソウルドラゴンが作り出した“ゴーストチルドレン”だった。妹ユメに似た面影を見て、退治できず同行を決めるライト。だがモモが怯える先にいたのは、かつて彼女の村を滅ぼしたユドたち「孤島の剣」だった。
ライトたちはユド一行と交戦。ネムムVSエイラ、ゴールドVSライエ、ライトVSユドという三つ巴の戦いが繰り広げられる。
圧倒的な実力差を見せつけ、ライトたちは勝利。ユドの切り札「バロークの眼」もライトには通用しなかった。
戦いを終え、ネムムとゴールドがユドたちを奈落に送り届ける間、ライトはメイとエリーを連れ、ダンジョン最下層へ。
そこで出現した“堕ちたスフィンクス”が見せる幻影の中、ライトは失った家族と再会する。
涙を流しながらも幻影を打ち破り、再び進む決意を固めたライト。
そしてついに、ソウルドラゴンとシオンが待つ最奥へと辿り着く——。
登場人物の動き・印象
妹ユメを思わせるモモとの出会いが、彼の中に残る“人間らしい情”を再び刺激する。
幻影に心を揺らしながらも、使命を貫く姿はこれまで以上に成熟した印象を与えた。
ソウルドラゴンによって作られた存在ながら、涙や恐怖を見せる人間的な一面が印象的。
シオン編のみのゲストキャラ的な位置づけだろうか。
実力を誇示する形でそれぞれ圧勝。ネムムは毒対決で冷静に相手を制し、ゴールドは力の差を見せつけた。あいかわらず漫才のような掛け合いも健在。
白の騎士団との戦いを想定していたが、皮肉にもその“白の騎士団”を滅ぼした相手がライト達だったという構図が滑稽かつ悲劇的。プライドを粉砕された彼の末路が印象に残る。
8巻の見どころ・印象に残った展開
第8巻は戦闘の連続でありながら、戦いの中に“人間性の揺らぎ”を織り込んだ巻だ。
妹を想う兄の情、かつての仇との対峙、そして幻影による心の試練——。
復讐の物語に少しずつ“心”の温度が戻ってくる、そんな印象を受ける。
モモとの出会いがもたらす揺らぎ
モモを救うシーンは、これまでの冷徹なライト像に変化を感じさせる。
たとえ敵の創造物であっても、「ユメに似た少女」を前に刃を振るえない。
“復讐者”ライトの奥底にある人間的な部分を強調する印象的なエピソードに感じた。
ネムムとゴールド
決してお互いを嫌いあっているわけではないが、普段から相手を軽視した発言が目立っていた。
が、エイラ、ライエとの戦いではゴールドがネムムを擁護する発言が確認できる。そんなゴールドの何気ない言葉が印象的。
口ではいろいろ言い合うが、お互いが信頼できる仲間であると心の底では思っているのであろう。
堕ちたスフィンクスの幻影──家族への未練
家族と再会する幻影に涙するライト。
だがそれを打ち破り、前へ進む姿には“復讐だけの男”を超えた成長が感じられる。
メイとエリーの反応もユーモラスで、緊張の中に一息つける場面でもある。(61話)
まとめ
戦闘のスピード感と、心理描写の緩急が絶妙な第8巻。
とくに幻影のエピソードは、これまでの“バトル中心”の展開に一息つく情感を与えた。
ラストではついにソウルドラゴンとシオンが登場し、次巻ではクライマックス級の戦いが予感される。





