『無限ガチャ』第16巻レビュー|獣人連合国の進軍開始!兄妹エリオ&ミヤの再登場とクオーネの初登場に注目

異世界で生きる物語
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第16巻は、巨塔VS獣人連合国の戦争開幕を前にした“準備と伏線”の一冊。

ヒソミたちマスターの思惑に踊らされる獣人族、そしてかつてダークに助けられた兄妹・エリオとミヤの再登場が物語を深く彩る。

シリアスな緊張感の中にも、魔術少女クオーネのコミカルな掛け合いが光り、シリーズの重さを和らげてくれる構成が印象的だ。

16巻の収録話と内容紹介

16巻は第116話〜第123話を収録。

獣人連合国のウルフ種族長・ガムのもとに、竜人帝国の使者フェイが現れ、巨塔を攻めるよう持ちかける。
当初は拒否したガムだったが、種族間の勢力争いを背景に、ついに提案を受け入れることに。
やがて人種奴隷を使うための“人種狩り”が始まり、物語は急速に戦争の火種を孕んでいく。

一方、かつて登場した兄妹・エリオとミヤの穏やかな日常が再び描かれる。

護衛の仕事で再び冒険の世界へ足を踏み入れた彼らは、道中でモヒカンたちと遭遇。

そして、新キャラの魔術師少女・クオーネと出会い、友情を育むが――その裏では獣人たちの魔の手が迫っていた。
ミヤたちが襲撃を受け、捕らわれたことで、巨塔と獣人連合国の全面戦争がついに避けられなくなる。

登場人物の動き・印象

エリオ&ミヤ

久々の登場となった兄妹コンビ。
エリオは穏やかな保護者的立場に回り、妹を心配しながらも一歩引いた見守り役。
一方のミヤは、かつて守られる側だった彼女が、今では仲間を守ろうと奮闘する姿が印象的。
成長した彼女の魔術戦が描かれ、初期との対比が強調されている。

クオーネ

新キャラクターとして登場した魔術師の少女。
性格は少し不器用で、ミヤへの興味が空回りして“ちょっとズレた友情アプローチ”を見せる。
特にBL的な誤解を交えたやり取りは、戦争前夜の物語にコメディ的緩衝材を加えている。
魔術の才能はあるものの、実戦経験は乏しく、戦闘では足手まといになる場面も。

フェイ&ガム

竜人帝国の意向を伝えるフェイと、それを受けたウルフ種族長ガム。
フェイの容姿がカヴァーに酷似している点が言わずもがな、ヒソミの技術が関わっている可能性大。
ガムはウルフ種としての誇りと立場の板挟みに苦しみつつ、結局は竜人帝国の思惑に乗ってしまう。

16巻の見どころ・印象に残った展開

巨塔と獣人連合国の衝突を前に、物語は再び「個のドラマ」に焦点を当てる。

ミヤの成長、クオーネとの友情、そしてエリオの兄としての想い――。

戦火が迫る中で描かれる“人間らしさ”が、この巻最大の見どころだ。

兄妹エリオ&ミヤの“その後”

2〜3巻での事件を経て冒険者を引退した彼らの穏やかな日常が、久しぶりに描かれる。

一見平和だが、その裏で「獣人族の魔の手が迫っている」という対比が静かな緊張を生む。

また、ダークとの縁を感じさせるミヤのミサンガが物語のちょっとしたキーアイテムとして印象的に使われている。

新キャラ・クオーネの登場と誤解コメディ

ミヤとの出会い方からして濃いクオーネ。

モヒカンたちを巻き込んだ“BL誤解劇”は笑いどころであり、個人的に印象に残っているシーン。

重くなりがちな戦争前のストーリーに、絶妙なテンポを与えてくれる。

ミヤの成長と決意

かつて守られる立場だった少女が、今度はクオーネを守ろうと戦う。

善戦しながらも力及ばず、捕らわれてしまう展開は胸に刺さる。

モヒカンたちが肝心な時に不在なのが歯痒かった。

巨塔VS獣人連合国、戦争開幕の兆し

最後に、モヒカンたちを通じてライトへ情報が届く流れが熱い。
竜人帝国の陰謀、獣人連合の誤算、人種狩りの暴走。

これまで散りばめられてきた火種がついに繋がり、次巻での全面衝突を予感させる完璧な“助走巻”に思えた。

16巻全体のテーマ・考察

第16巻のテーマは、「選択と利用」。

竜人帝国の誘導により、獣人連合国は自ら戦争の道を選んだように見えて、実は他者の掌の上で踊らされている。

ガムたちは“民族の誇り”を掲げながらも、派閥間の利害や名誉心に縛られて判断を誤る。

一方で、エリオとミヤのように“誰かを守ろうとする個の選択”も描かれており、対比が際立つ。
戦争という大きな流れに巻き込まれながらも、人の意思や絆が物語の軸であり続けることを示している。

まとめ

第16巻は、戦争前の緊張を静かに積み重ねながら、人間ドラマと新キャラの魅力をバランスよく描いた構成。

エリオとミヤの再登場でシリーズ初期とのつながりが強まり、長期連載の“世界の厚み”を感じさせる。
一方で、ラストに向けては明確に戦の火ぶたが切られ、17巻ではいよいよ巨塔VS獣人連合国の大決戦が描かれる予感。
戦と絆、そして復讐の物語がどう交錯していくのか――次巻が待ち遠しい。