ついにナーノへの復讐が果たされ、長く続いたドワーフ国編が終幕を迎えた『無限ガチャ』第15巻。
ライトの手によってカヴァーやナーノが裁かれる一方、舞台は竜人帝国と獣人連合国へ――。
「ますたー」と「C」をめぐる謎が一気に深まり、物語は新たな戦乱のフェーズへ突入します。
復讐譚から群像戦記へと変化していく、その第一歩とも言える巻です。
15巻の収録話と内容紹介
第15巻には、第108話から第115話までを収録。
カヴァーとの激戦では、ライトは呪われた神話級武器《世界ヲ喰ラウ》を振るい、幻想級の敵を圧倒。
ナーノへの復讐も実行に移され、これまでの因縁が清算されていく。
その裏で、「カヴァーを生み出した者」ヒソミの存在が判明。
ヒソミを含む“6人のますたー?”が竜人帝国で暗躍していることが明らかになる。
さらに、獣人連合国までもが巨塔を巡る戦いに巻き込まれようとしていた。
復讐劇が一区切りし、次なる大戦の火種が灯る――それが第15巻の全体像です。
登場人物の動き・印象
カヴァーを圧倒的な実力で撃破し、レベル9999の存在としての強者感を再び示す。
復讐対象だったナーノに「恐怖と絶望を味わわせつつも死なせない。」という非情な裁きを下し、復讐者としての完成形に近づいていく。
しかしその後の奈落での穏やかな会話シーンでは、仲間との絆も描かれ、冷酷さの裏にある“目的意識”が際立つ。
傲慢なドワーフ鍛冶師として登場した彼が、ついに裁かれる。
最期には命乞いをする姿も描かれ、過去の行いに対する因果応報が強調された。
フレッシュゾンビであり、呪いの武器をその身に宿した存在。
戦闘後、ヒソミの関係者であることが明かされ、物語の構造が一気に拡張。
彼の登場が「ますたー」勢力の存在を浮き彫りにするきっかけとなった。
竜人帝国の会議シーンで初登場。ヒソミ、ヒロ、カイザー、黒、爆弾小僧、鮫野郎――不穏な名前のメンバーたちが、“C”と敵対していることが示される。
11巻で話に上がったレベル9000代の人種がこの中にいれば、ライト達ともバチバチにやり合うことになるので大いに盛り上がりそう。
15巻の見どころ・印象に残った展開
怒涛の復讐劇が一段落し、世界の構造が一気に広がる第15巻。
ライトたちの物語は、個人的な因縁を越え、種族と国家を巻き込む壮大な戦いへ――。
次なる標的は「竜人帝国」か、それとも“ますたー”勢力か。ここからが新章の本番です。
ナーノへの復讐、ついに完結
ライトがナーノに突きつけた“三つの選択肢”は、まさにシリーズの原点である「復讐の正義」を象徴する場面。
抵抗を選んだナーノは無惨に敗北し、己の行いを悔いる間もなく奈落へ連行される。
ドワーフ国編のラストとして、深いカタルシスをもたらす決着でした。
ヒソミと「ますたー」たちの会議――新たな敵勢力の台頭
カヴァーの“生みの親”として登場したヒソミ。
竜人帝国内のとある場所で会議をしていたわけだが、Cと敵対していることは明らかで会議参加者はマスターの集団でほぼ確定。
竜人種がそもそもマスターだったのか、たまたま竜人帝国内で会議していただけなのか・・・
新情報満載で印象に残っています。
悲しき獣人連合国
終盤では舞台が一転し、獣人連合国の政治的会議が描かれる。
人種を自分たちの下、家畜程度に思っているわけだが、人種独立絶対主義を掲げる巨塔の台頭によりこれまでの身分が危ぶまれる。
竜人種からは獣と揶揄され、上からも下からも詰められ、なくなく巨塔に挑まざるを得ない状況が印象的だった。
15巻全体のテーマ・考察
第15巻は、「復讐の完結」と「世界構造の拡張」が同時に描かれた巻。
ライトがナーノを裁いたことで、これまで続いた“個人の恨み”には一旦終止符が打たれる。(まだ残り4人いるが・・・)
一方で、「ますたー」「C」の対立関係が明確になり、物語は群像的な構成へと進化を遂げている。
注目したいのは、「誤解された正義」というテーマ。
ライトの巨塔が“人種平等”を目指して作られたのに対し、外部勢力はそれを“脅威”とみなしている。
ライト側にはまだ敵対する理由がないが、ライトの故郷を滅ぼした存在であった場合は一気に対立が加速しそうで、読者的にはそちらのほうが見応えがありそう。
まとめ
ナーノ編が終結し、一時の安堵を感じたのも束の間。
竜人帝国と獣人連合国の動きが加速し、再び巨大な戦乱の予兆が漂う。
「レベル9999の復讐者」から「世界を揺るがす存在」へ――。
ライトの立場が変化していく過程を感じさせる巻でした。
次巻ではいよいよ、巨塔を中心に新たな戦いが勃発する予感。
“ますたー”たちの正体と、レベル9000代の謎も本格的に動き出しそうです。





