「えっ、こんなスキルが役に立つの!?」
異世界×スキル売買というユニークな設定で、じわじわと読者の心をつかむ話題作『いらないスキル買い取ります』。
地味なスキルにスポットが当たる、ちょっと不思議で温かな成長物語をお届けします!
あらすじや他情報
この世界では、生まれながらにして“スキル”という特別な力が神より授けられる。
多くの人がそれを活かして暮らしを豊かにする一方で、不遇なスキルで不幸になる人も存在。
そんな中、「回収屋」呼ばれるひとりの青年が「売買」のスキルを使って、不要とされたスキルを買い取りながら旅を続けている。
彼のもとには、種族も地位も異なる人々が訪れ、人生に絶望をにじませながらスキルを手放していく。そしてそのスキルは、別の誰かの人生をそっと支えることになる――。

作品基本情報
タイトル | いらないスキル買い取ります |
作者 | 昼熊 |
出版社 / 掲載誌 | オーバーラップ/コミックガルド |
ジャンル | 異世界、ファンタジー、スキル |
巻数 | 既刊2巻(2025年6月) |
アニメ・ドラマ展開 | なし |
世界観と舞台設定
生まれつきスキルを1つないし複数持っているのが当たり前の世界。逆にスキルを持っていない人は「無能者」と呼ばれ、周囲の人間からは馬鹿にされ、家族にも見捨てられるようなスキル至上主義の世界観です。
主人公の持つ「売買」のスキルは彼のみのオンリースキルで、スキル社会の歪みと、そこに苦しむ人々に向き合い続けていきます。
作品の魅力
スキルを巡って交錯する、ささやかで切実な人生模様。
本作は、いわゆるチート能力も派手な戦闘もない。それでも心に深く染みわたるのは、“いらない”とされたスキルに宿る、誰にも語られなかった想いや希望が丁寧に描かれているから。
ここでは、そんな『いらないスキル買い取ります』が持つ唯一無二の魅力をひも解いていきます。
「いらないスキル」に光を当てる――逆転の発想が秀逸
多くの異世界作品では、“強スキル”や“チート能力”を持つ主人公が活躍するのが定番ですが、本作ではその真逆。
注目されるのは、誰もが「役立たず」と決めつけるスキルたち――『病弱』『味音痴』『薄幸』…。
それらを「売買」という唯一無二のスキルで買い取り、価値の再定義をしていく発想が非常にユニークです。
スキル社会という設定がしっかり練られており、「いらない」スキルが別の誰かにとって“必要”になるという構造が感動的。
この価値の再発見というテーマが、なかなか他作品では見られない魅力に感じました。
「売る」と「買う」が生む、人と人のつながり
本作はただスキルを“買い取る”だけの物語ではありません。
売ったスキルは“倉庫”にしまわれるのではなく、別の誰かが“購入”していくのです。
例えば、主婦には不要の「魔物寄せ」のスキル。強くなりたい格闘家には重宝するスキルです。
自分にとっていらないスキルでも必要な人がいる。日本でいうリサイクルショップみたいな感じでしょうか。
仲介を通しているため当事者同士の直接的な繋がりはないですが「国単位でみれば間接的に人は繋がっているんだよ。」という人と人が静かに支え合う美しさに魅力を感じました。
目的が明確だから、話が入ってきやすい
主人公はなぜ回収屋をやっているのか。その目的が第1話で明確になっています。
「信頼していた姉の裏の顔を知り疎遠に。姉の真意を知るためにもう1度会いたい。」
売買スキルのレベルを上げることが会う近道なので回収屋をやっていると。
これが分かっているので、第1話以降の各ストーリーを見てもグダグダ感がないです。
「主人公は一体何が目的なんだ?」とか「読者の私は何を見せられているんだ?」といった展開が皆無。こういった分かりやすい内容が魅力に感じました。
見どころ・注目シーン
- 己がスキルに目覚めることを諦めない才能ナシの最期(1巻)
- 花売りの少女との出会いと家族団欒(1~2巻)
- 初のオンリースキル持ち。「死に戻り」とのエピソード(2巻)

こんな人におすすめ
- 「地味だけど本当に良い作品」に出会いたい人
- スキル系設定の中でも“思考型”“感情重視”の作品を探している人
- 人との出会いや別れに弱い、感情移入しやすいタイプの人
まとめ
単にスキルを回収するだけでなく、人と人をつなぐ感動作です。
2巻までですが読み終えたとき、早く続きが読みたいなと思えるような作品でした。
なお「小説家になろう」のほうではすでに完結しているようです。
どこで読める
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