第7巻は、“攻守逆転”の始まり。
これまでアリステアの評価を上げようと躍起になっていたグラディクト。しかし作戦はことごとく失敗。
そこで二人はついに方向転換――「エセリアの評価を落とせばいい」という短絡的な思考へ。
一方のエセリアは、それすらも織り込み済み。
自作自演を誘発し、証拠を“育てさせる”。
婚約破棄はまだ起きない。
だが、その舞台装置は着実に整っている。そんな巻です。
7巻の収録話と内容紹介
7巻は29話~33話を収録。
29話|レオノーラの立ち位置
新キャラ・レオノーラが本格始動。
本来なら王太子妃候補になっていてもおかしくない家柄と実力を持つ令嬢であり、剣術大会の接待係まとめ役。
グラディクトはアリステアをその輪に無理やり参加させようとするが、その横柄さにレオノーラは違和感を覚える。
エセリアに対して「なぜ傍観しているのか」と問いかける場面は印象的。
エセリアは「私は利己主義なので傍観します」と静かに返す。
敵対でも共闘でもない、緊張感ある距離感が生まれる。
30~31話|校内探索会と顔合わせの失敗
グラディクト主導で開催された「校内探索会」。
実質はアリステアの人脈作りイベント。
しかしエセリアは即座に対抗。
問題の差し替えにより上級貴族たちは赤っ恥。むしろ反感を買う結果に。
続く令嬢たちとの顔合わせでも、アリステアは予習不足と浅い知識で失敗。
好印象どころか「肩書き頼み」と評価を落とす。
ここで二人はついに発想を転換。
「評価を上げられないなら、エセリアを落とせばいい」。
危険な思考にシフトする。
32話|自作自演の布石
チーム・エセリアが分析。
ゲーム展開ではそろそろヒロインへの嫌がらせが起きる時期。
しかしエセリアは直接的な嫌がらせはしない。
代わりに「エセリアはやりそうだ」という噂を流す。
疑心暗鬼に陥ったアリステアは、自作自演を決意。
破れた教科書を持ち込み、犯人はエセリアかもしれないと匂わせる。
さらに“架空の目撃者の宣誓書”まで渡し、「証拠は育てましょう」と誘導。
ここから自作自演はエスカレートしていきそうな気配。
33話|ハンカチ事件と溝の深化
アリステアがゲーム知識をなぞり、ハンカチをプレゼント。
しかもその刺繍サービスはエセリアの発案。
皮肉なことに、ワーレス商会で購入し値切るというオマケつき。
夜会へ向かう馬車内でエセリアは「貧相なハンカチですこと」と挑発。
当然、ゲームの展開を知った上での一手。
こうして婚約破棄への意思は、双方の中でより強固なものとなる。
登場人物の動き・印象
完全に一枚上手。
嫌がらせを“しない”ことで、自作自演を誘発する構図を作る。
策は浅く、短絡的。
支持基盤を失いながらも、感情優先で突き進む。
ついに自作自演へ。
BL本=攻略書を信じ切る姿が痛々しい。
冷静な観察者ポジション。
現時点では中立だが、爆弾になり得る存在。
7巻の見どころ・印象に残った展開
7巻は「失敗の連続」が面白い。
何かを仕掛けるたびに裏目に出る爽快感があった。
校内探索会の大失態
上級貴族たちの反感を買うという最悪の展開。
政治センスの差が如実に出た名場面。
探索会終了後のエセリアの「おーほほほほほ」と悪役令嬢感がにじみ出たシーンも印象的。
令嬢顔合わせの空気地獄
予習したはずが全然噛み合わない。
アリステアの“薄さ”が浮き彫りになる回。
これを機にグラディクトの考え方が、”アリステアの評価を上げる”から”エセリアの評価を落とす”にシフトチェンジした印象的な巻。
自作自演と宣誓書集め
ここから断罪イベントの布石が積み上がる。
しかもそれはエセリアの作戦。背筋がゾクッとする展開。
アリステアが嫌がらせを受けたとグラディクトに泣きつく。
だがそれはアリステアの自作自演。
この自演行為に、「目撃者がいました」「宣誓書を書いてもらいました」と証拠を持ってくるのがエセリア側の人間。
壮大なラストの布石になっており見どころ。
ハンカチ事件
アリステアのプレゼントしたハンカチ、主に刺繍の部分を気に入るグラディクト。
「まるで職人が刺したかのように美しい」と惚れ惚れする。
アリステアが「刺繍代金くらい無料にしなさい」とごねて作った力作である。
コメディタッチに描かれたその後、エセリアがハンカチを否定。
これにより、グラディクトとエセリアの溝が非常に分かりやすくなったシーンは見どころ。
7巻全体のテーマ・考察
テーマは「積み上げ」。
エセリアは一切派手な行動を取らない。
だが、噂・証言・宣誓書という“証拠”が静かに蓄積されていく。
おそらく卒業式、あるいは公の場での婚約破棄宣言。
そのとき、どちらの証拠が重みを持つのか。
レオノーラという変数も投入され、物語は最終局面へ近づいている。
ここから先は、単なるざまぁでは終わらない気配すらある。
まとめ
7巻は“静かな爆弾設置回”。
アリステアの評価アップ作戦は完全に破綻。
ついにエセリア断罪ルートへ舵を切る。
だが読者は知っている。
その道すらエセリアの掌の上だということを。
積み重なっていく宣誓書。
深まる溝。
卒業式が近づくにつれ、ざまぁの規模も膨らんでいきそうで――
次巻が待ち遠しい一冊です。


