復讐のための長い布石が動き出す第2巻。
主人公ライト──いや「ダーク」と名を変えた彼は、ゴールド、ネムムとともにドワーフ王国へ。
次なる復讐対象サーシャへの手を進めつつ、冒険者としての名を上げるために動き出す。
道中で出会う新たな仲間たち、そして不穏に動く“フードの三人組”。
小さなギャグの合間に漂う不気味な伏線が、次巻への期待を高める展開だ。
2巻ダイジェスト、作品紹介
第2巻(第6話〜第14話)は、ライトが「ダーク」として冒険者活動を始める章。
ドワーフ王国を目指す道中で人助けをし、ギルド登録を経て、初の本格ダンジョン攻略へと踏み出す。
物語は3つの視点で進行する。
- 1つ目は、ダーク・ゴールド・ネムムの冒険者としての視点。
- 2つ目は、若手パーティ(エリオ、ミヤら)との交流。
- そして3つ目は、暗躍するフードの3人組(カイト、ヤナークら)の動きだ。
一見スローペースに見えるが、終盤でミヤの転移事件が発生し、次巻への大きな布石を残す構成となっている。
登場人物の動き・印象
名前を隠して“ダーク”として行動開始。復讐を急がず、冒険者としての地盤固めをする冷静さや余裕さが際立つ。レベル9999。
ミヤ兄妹との出会いを通じて、かつての自分と家族を重ねる描写も印象的。
今巻のムードメーカー。ギルド職員への天然ボケや、ゴールドとの掛け合いでギャグパートを担う。もちろん普通に強い、レベル5000。
殺伐とした物語の中で、彼女の存在が作品の空気を軽くしている。
常識人ポジションとしてネムムのツッコミ役をこなしながらも、実力は確か。こちらもレベル5000。
戦闘面では圧倒的な強さを見せつつ、素材の扱いにこだわりがありそうな職人気質な一面も見せた。
若手冒険者パーティとして登場。未熟ながらもひたむきに戦う姿が好印象。
特にミヤはダークに強いあこがれや好意を抱いており、終盤の“転移事件”によって運命の歯車が大きく動き出す。
“フードの3人組”の中核。カイトはエルフの中でも高レベル(1500)で、謎の人物「ますたー」の血を引くと自称している。
彼らの「実験体探し」は不穏の極みで、物語の暗い側面を担う。
2巻の見どころ・印象に残った展開
第2巻は「小休止のようでいて、伏線の宝庫」。
ギャグパートでキャラクターを掘り下げながら、裏では復讐計画と新たな因縁が静かに進行していく。
ネムム&ゴールドの漫才コンビ誕生
ギルド登録時、ネムムが「超ドS級にしなさい!」と職員にキレる場面は、個人的に印象に残っているコメディシーン。
それを冷静にツッコむゴールドの姿に、息の合ったバディ感が生まれた。
以降も二人のやり取りは絶妙で、復讐という重い物語の清涼剤となっている。
若手パーティとの出会い
ダーク一行が助けた少年少女パーティとの交流は、次巻への展開に繋がる重要な伏線。
彼らの不器用な戦闘を見守り、さりげなく助言をするダークの姿には人間味を感じる。
特にエリオとミヤの存在が、ダークに“守りたいもの”を再び思い出させた印象があった。
レアモンスター・フォーサイスマンティス戦
レベル9999のダークたちにとっては敵ではないが、その余裕が“異常な強さ”を際立たせ、彼らが“普通の冒険者”ではないことを若手パーティに強く印象づけた。
ネムムが一瞬で細切れにし、ゴールドがツッコむ漫才も発動する。
巻全体のテーマ・考察
第2巻のテーマは「準備」と「布石」。
復讐そのものは進展しないが、舞台を整え、敵味方の関係性を整理する構成になっている。また、“ますたー”の存在がカイトの口から語られるなど、物語の核心に近づく伏線も張られている。
次の復讐対象者はエルフ種のサーシャで、こちらはエリーが準備中。
おそらく次巻で接触するであろうカイトもエルフ種。カイトから何らかの情報を得て、サーシャ復讐へ活かす展開が予想できる。
まとめ
ギャグと伏線、緩急のバランスが心地よい第2巻。
新キャラの登場と不穏な実験計画によって、物語のスケールは一気に拡大した。
ラスト14話で、いきなり瀕死のミヤがダークの元へ転移してくる急展開も、次巻へ誘う仕掛けとして秀逸に思う。





