第9巻は、いよいよ本格化する“神殿編”の中枢突入編。
舞台は神殿本部のある大都市ミルウォーク。
ルキア救出を目的に動き出すカイたちですが、その裏では神殿の長年にわたる計画と、恐ろしく冷酷な思惑が浮かび上がります。
シリアス全開――かと思いきや、団子や村レベル40といったスローライフ要素も健在。
静かな怒りと、確かな決意。
この巻は「神殿の闇」と正面から向き合う転換点と言える一冊です。
9巻の収録話と内容紹介
9巻は49話~54話を収録。
第49話
カイ一行は神殿本部のあるミルウォークへ到着。
ちょうど千年祭の時期で人で溢れかえっており、警備が手薄になるという好条件の中、情報収集を開始する。
第50話
宿を取り、カイ・ユーリ・レンの3人で行動。
聖アーサー大聖堂を前に、カイは神殿の“権威の裏側”に思いを巡らせる。
怒りに任せて破壊衝動に駆られそうになるが、「生きている誰かを殺しても意味はない」と踏みとどまる。
一方で、1年前のルキア視点へ。
ビーエ・クラウザーに接触し、兄の行方を追っていた過去が描かれる。
第51話
ルキアは3柱の祝福を受けた特別扱いの存在。
守護聖人の後任候補として、時間停止の術を扱う修行を強いられていた。
ついにビーエの記憶を読むが、そこにあったのは「カイは死亡済み」という認識。
絶望に沈むルキア。以降の描写はないが、神殿に利用されている現在が強く示唆される。
第52話
現在へ戻る。
情報収集組が団子をお土産に持ち帰り、ほっとする空気も。
村レベルは40に到達(杭が1本増加)。
だが本題はルキア救出。ビーエの位置を特定し、尾行作戦へ。
第53話
大聖堂地下へ潜入。
門番を巧みに言いくるめ、立ち入り禁止区域へ。
ビーエの護衛は“本体”のセレスティアル。
レンとアビスの連携で無力化し、てのひら開拓村へ転送。
神殿側の重要戦力を一枚剥がすことに成功。
第54話
ついにビーエと対面。
彼女はカイの顔を覚えていたが、無人島追放の本人だとは気づかない。
さらに奥へ進むと、そこにいたのはルキアではなく守護聖人アーサー。
本来、時止めの術で意識がないはずの存在が――なぜか目を覚ましていた。
不穏な幕引きで次巻へ。
登場人物の動き・印象
怒りと理性のせめぎ合いが印象的。
神殿を壊すこともできる力を持ちながら、「復讐ではなく救出」を選ぶ姿勢がより明確になる。
本巻最大のキーパーソン。
兄を想う純粋さが、神殿の策略によって踏みにじられている構図が痛々しい。
“3重祝福者”という特異性が、悲劇の布石である可能性が濃厚。
「私なら1分で庭園を灰にできます」という一言が象徴的。
ダークヒロイン的な側面と、カイを支える理性のバランスが光る。
8巻で登場した存在の“完成形”。
神殿側の戦力の高さを示すと同時に、北の研究所との繋がりを再認識させる存在。
9巻の見どころ・印象に残った展開
神殿中枢に迫る緊迫感と、断片的に挟まれる日常描写の対比が絶妙な一冊。
シリアスとスローライフのバランスが、本作らしさを保っています。
怒りに呑まれかけるカイ
大聖堂での独白は、かなり危うい。
もしここで暴走していたら、物語は完全にダークヒーロー路線へ傾いていたはず。
「意味のない殺しはしない」と選べる主人公であることが、物語の方向性を決定づけていて印象的。
団子と村レベル40の安心感
ルキア救出前の団子シーン。
緊張状態の中での小休止は、読者にとっても救い。
さらに村レベル40到達という進展。
物語がどれだけシリアスになっても、“建国物語”であることを忘れさせない描写です。
ルキアの使い道という残酷な真実
3重祝福者であるルキア。
神殿の狙いは、彼女を“魔女討伐の鍵”として利用すること。
祝福者を殺せば起こる“神返り”。
それを意図的に引き起こす計画――。
もしそれが実行されれば、ルキアは命を奪われるだけでなく、災厄の引き金にされる。
ここが今巻最大の衝撃ポイントであり見どころ。
9巻全体のテーマ・考察
神殿は魔女を“討伐”ではなく“封印”してきた。
それは討伐手段がなかったからではないか。
守護聖人への時間停止。
ローザリンデの500年拘束。
そしてルキアの神返り利用計画。
神殿は1000年単位の計画を動かしている可能性が高い。
また、守護聖人と魔女封印との関係は?
このあたりは次巻で大きく動きそうです。
まとめ
第9巻は、神殿編の“突入編”。
・ルキアの過去
・セレスティアル本体の撃破
・ビーエ確保
・守護聖人の異変
物語は明確にクライマックスへ向かい始めました。
それでも、団子や村レベル描写が入ることで、
「てのひら開拓村」という作品の軸はブレない。
おそらく次巻は神殿の核心へ。
間違いなく大きな山場になりそうです。




