第8巻は“加護祭り”ともいえる展開からスタート。鍛冶神・戦神という男神コンビの登場で戦力が一気に強化され、ついに念願のドラゴン肉を味わうことに成功します。
その後は久々の本格ダンジョン攻略へ突入し、懐かしのパーティ「アイアンウィル」との再会や、最下層でのベヒモス戦など、冒険譚としてのボリュームも十分。
戦闘は短めながら緊張感があり、終盤には謎めいた“剣”が登場するなど、次巻への期待を抱かせる巻でした。
8巻の収録話と内容紹介
8巻は41~46話を収録。
41話
神界の女神たちの雑談タイムに、鍛冶神ヘファイストスと戦神ヴァハグンが乱入。目的はもちろんムコーダの“酒”。その流れでスイに鍛冶の加護、ドラちゃんに戦神の加護が付与される。スイの初鍛冶でミスリルナイフ+1が完成し、アースドラゴン解体の希望が見える。
42話
エルランドがミスリルナイフ+1の力でドラゴンの解体に成功。アースドラゴンの素材は驚くほどの価値を持つらしく、血・肝・牙の買い取りをギルド側が申し出る。ムコーダは解体後のドラゴン肉をローストにして振る舞い、フェルたちは再びやる気満々に。
43話
ドランのダンジョンへ挑戦。全30階層の大型ダンジョンで長期滞在も普通だという噂を聞く。攻略中に1巻ぶりの冒険者パーティ「アイアンウィル」と再会し、ワイバーンシチューを振る舞うと大好評。
44話
宝箱フロアに突入。毒ガス系の罠が多いが、ムコーダは多重の加護のおかげで無効化。後続の冒険者のためにあえて罠箱を開けて回る“人の良さ”が光る回。ミミック戦後には宝石箱入りのご褒美も。
45話
一転して広大な砂漠フロアへ。灼熱と極寒という極端な環境にネットスーパーが大活躍。昼はアイス、夜は鍋うどんで体を温めるなど、ムコーダ飯のバリエーションも楽しい。
46話
最下層のボス・ベヒモスと対決。いつもの瞬殺では終わらず、しっかりとした戦闘描写が入る。スイ、フェル、ドラちゃんの連携で撃破。残されたのは謎の剣一本──という引きで8巻は終了。
登場人物の動き・印象
- 多重加護の恩恵がさらに拡大し、ついに“罠無効”まで獲得。
- 相変わらずの善良さで罠宝箱を開けて回る姿が好印象。
- ドラゴン肉を仲間に振る舞ったことでリーダーとしての存在感も増す。
- ドラゴン肉を食べたことで元気を取り戻し、やる気MAXに復帰。
- ベヒモス戦では相変わらずの頼もしさを見せた。
- 鍛冶の加護を獲得し、ついに“鍛冶師”としての才能が開花。
- 初仕事でミスリルナイフ+1を仕上げるあたり、もはや天才。
- 戦神の加護を手に入れ、戦闘面の強化が期待される。
- アイアンウィル女性陣からの人気ぶりが微笑ましい。
- アースドラゴン解体成功で、長年の夢が叶ったかのような感動を見せる。
- 食事パートでは完全にムコーダ飯“常連”の表情。
8巻の見どころ・印象に残った展開
第8巻は“強化”と“再会”がキーワード。新たな加護で戦力が跳ね上がった仲間たち、念願のドラゴン肉実食、アイアンウィルとの再会、そして最下層ベヒモス戦──物語の積み重ねと冒険の醍醐味が一気に詰まった巻だった。
男神コンビ登場で世界が一気に広がる
女神たちのコミカルパートに、ようやく男性神が参戦。しかも鍛冶神と戦神という、今後の戦力強化に直結する存在で、物語の広がりを感じる回でした。
ムコーダの“酒供給”が本当に神界の構造を左右しているのが面白いところ。
念願のドラゴン肉!仲間たちが再び活気を取り戻す
アースドラゴン解体成功からのローストドラゴンは、今巻最大のご褒美シーン。
長らく期待が溜まっていた展開なので、読者としても満足度が高い。フェルのテンション復活も見どころ。
1巻ぶりの再会──アイアンウィルとの温かな交流
アイアンウィルとの再会は、シリーズを追っている読者として嬉しい演出。過去巻とのつながりが生まれ、物語に“旅の積み重ね”を感じられる回でした。
アイアンウィルについては 第1巻レビューで少し解説。
ダンジョン最下層のベヒモス戦
いつもなら即討伐のフェルたちが、珍しく“1話分”戦う展開に。
短いながらも緊張感があり、今後のボス戦の方向性が変わる前兆のようにも思える締めでした。
8巻全体のテーマ・考察
第8巻を通して印象的なのは**「強化と再会」**というテーマ。
スイとドラちゃんに新たな加護が加わったことで、ムコーダ一行はさらに万能化。一方で、アイアンウィルとの再会や、ドラン街のギルマスとの交流が“人とのつながり”を描き、スロー系旅物語としての温かさも強まっている。
また、ラストに残された“剣”は単発の演出とは思えず、次巻以降の伏線である可能性が高い。フェルたちの気まぐれで始まったダンジョン探索に、予想外の意味が生まれるのかもしれない。
まとめ
第8巻は、仲間の強化・旧友との再会・本格ダンジョン攻略・ボス戦と、バランス良くイベントが詰まった楽しい巻だった。
特にドラゴン肉を囲んだ食事シーンはシリーズ屈指の“幸福度の高い場面”。終盤のベヒモス戦と謎の剣にも期待感があり、「次はどうなる?」と自然にページを進めたくなる締め方だった。
次巻では、この剣の正体が語られるのか、さらに深い階層の冒険が続くのか──ムコーダ一行の旅はますます広がりそうだ。



