『追放された転生王子』第3巻では、スローライフの余韻から一転、災害級モンスター・アダマンタートルとの決戦へ。
フェンリルたちとの平和な食卓や温泉シーンも束の間、次々と押し寄せる脅威にテオと仲間たちが立ち向かいます。
そして戦いの裏で蠢く黒幕の存在、村の命名や“米”の導入など、異世界開拓ストーリーが大きく進展する1冊。
この記事では、18〜26話の展開を振り返りながら、見どころをたっぷりご紹介します。
『追放された転生王子』第3巻の見どころレビュー


追放された転生王子、『自動製作』スキルで領地を爆速で開拓し最強の村を作ってしまう〜最強クラフトスキルで始める、楽々領地開拓スローライフ〜 3巻
[著]熊乃げん骨 : ダイチ : 転

アダマンタートル戦を中心に、村の生活や人間関係が大きく動いた第3巻。
今回は温泉シーンや宴会、そして災害級モンスターとの激戦など、日常と緊張が交差する展開が見どころです。
黒幕の存在が明かされたり、村の名前が決まったりと、物語全体に広がりが出てきた印象もありました。
以下では、章ごとに印象的な場面や注目シーンを振り返ります。
女性陣のやりとりが面白い温泉シーンと、クラフトの活用に光るテオの交渉術
第18話ではアリス、サナ、マルティナによる入浴シーンからスタート。
死の大地にしてはあまりにも快適すぎる環境に驚く2人に、少し落ち込むアリスの様子が描かれます。
しかし、偶然入ってきたレイラに対し「テオの秘密を昔から知っていた」とマウントを取るアリスのやりとりがテンポも良く、キャラ同士の関係性が楽しいポイント。
また討伐した竜の素材をローランが欲しがる場面では、テオが「金貨は少しでいいので資材を」と逆提案し交渉成立。
クラフトスキルの利点を活かした取引が、主人公らしい機転の効いた場面でした。
村人全員での宴から一転、災害級モンスター・アダマンタートル襲来!
19話では、竜の肉を使った村人総出の宴会が描かれ、平和で温かい時間に。
フェンリルたちも参加し、死の大地とは思えないほど和やかな空気が流れます。
しかしその余韻も束の間、災害級モンスター「アダマンタートル」の接近が報告され、緊張感が一気に高まります。
20話ではホワイトボードを使ったサナの作戦会議が開かれ、彼女の少女漫画風イラストがツッコまれるシーンが印象的。
モンスター戦の前にコミカルな緩急が入ることで、読者としてもグッと引き込まれる構成でした。
告白と共に描かれる“最終決戦”前夜の決意と、黒幕の存在を示唆する展開へ
21〜22話では、アリスの告白と加護の付与シーンが印象的。
「死んだりしたら許さない」と強がりながらも真剣な想いを伝える姿は、彼女の芯の強さを感じさせます。
一方で、マルティナが飛竜に精神操作の痕跡を発見し、「誰かが意図的にモンスターをけしかけている」ことが判明。
これまでの襲撃が偶然ではなく計画的なものだったと明かされ、物語の背後に潜む“黒幕”の存在が浮かび上がってきます。
この流れがあることで、アダマンタートル戦が単なるモンスター討伐に留まらず、物語全体の転換点になっている印象を受けました。
連携が光るアダマンタートル戦!レイラのファインプレーに注目
22〜24話ではいよいよアダマンタートル戦が本格化。
最初の作戦では落とし穴にはめて口を開かせ、魔導砲で撃ち抜くという流れでしたが、予想外にアダマンタートルが冷静な対応を見せます。
そんな中で見せ場となったのが、アリスとレイラの連携。
レイラがアリスを抱えて跳躍し、上空から攻撃誘導して魔導砲を命中させるシーンは、戦略×身体能力の融合でとても爽快感がありました。
さらに、テオの作った鉄塔にアダマンタートルを突き刺すフィニッシュも見事。各キャラの活躍が均等に描かれ、バトルシーンとしての満足度が高かったです。
ついに黒幕登場、そして女神との再会――村の未来へ新たな一歩
25話ではニルス視点が挿入され、これまでのモンスター襲撃が彼の仕業であったことが明かされます。
財力にものを言わせ、強力な魔法や魔物を動かしていたことが判明し、彼の今後の動向が物語の鍵を握りそうです。
そして、テオとアリスの距離がぐっと縮まり、ついにキスシーンも。
このタイミングで女神が久々に登場し、アリスに対して対抗心を見せるなど、相変わらずのお茶目さも健在。
神金属と加護の更新というご褒美もあり、次なる展開への準備も整えられました。
村に名前がつき、米の栽培スタート!レガリア領の次のステージへ
26話では、戦いの余韻から一転して新たな日常フェーズへ。
ローランとの和解が描かれ、領地と村に正式な名前「レガリア」「ルカ村」が与えられます。
最大の注目は、なんと日本の「コシヒカリ」が村に登場する展開。
「何これ?白い豆?」「ベタベタする」と戸惑う村人たちが、ひと口食べた瞬間「うま~っ」と感動する描写は読んでいて微笑ましく、個人的にも非常に印象に残りました。
そして、次の舞台がエルフの里になることが示唆され、第4巻以降への期待も高まります。
3巻レビューまとめ
第3巻は、「戦い」と「日常」のバランス感覚がとても優れた巻でした。
サナの作戦会議イラスト、温泉での掛け合い、アダマンタートルとの総力戦、そして米栽培というユニークな展開まで、バリエーション豊かなエピソードが続きます。
アリスとの関係が進展したことで、恋愛面のドラマも動き始め、次巻以降への布石も多数。
“死の大地”という舞台をただの開拓地ではなく、「物語が息づく場所」として魅力的に見せてくれた1冊でした。