穏やかに見えた愛の時間は、ほんの一言で崩れ去る。
「好き」と伝えあい、ようやく両想いになれたはずの紗雪と眞人。しかし第5話では、信頼の糸が再びねじれ、愛と支配の境界が曖昧になっていく——。
静かな日常の裏で、眞人の“ヤンデレ”本性が再び牙をむく、息の詰まるような展開です。
あらすじ(ネタバレ最小)
会社では誰もが憧れる爽やかイケメン、私生活では恋人のすべてを支配したい男。
第5話では、そんな眞人の“二つの顔”が描かれます。
紗雪は盗聴を知ってもなお「筒抜けなんて嬉しい」と笑い、眞人への想いを再確認。
しかし、自分を想ってくれた高屋へのけじめをつけようとする一言が、眞人の誤解を招くことに。
——その夜、彼の愛は静かに狂気へと転じる。
第5話の見どころ
4話でようやく重なった“恋人同士”の温度感が、5話では一気に不穏な空気へ。
眞人の「完璧な日常」と「壊れた愛情」が交錯し、ヤンデレTLの真骨頂を感じる回です。
仕事モードの眞人が見せる“理想の男”像
冒頭、会社での眞人は爽やかで頼れる社会人。
女性社員の視線を集めながらも、笑顔を絶やさない彼の姿はまさに“できる男”そのもの。
——しかし読者は知っている。この完璧さの裏に、制御不能な独占欲が潜んでいることを。
この対比が、物語全体の緊張感を高めています。
紗雪×涼夏姉妹の会話が生むブラックユーモア
「まさか眞人君に全部筒抜けだったなんてね!」と無邪気に喜ぶ紗雪。
「いや、罪でしかないが?」と突っ込む妹・涼夏。
このシーンは、異常さと恋愛の甘さが絶妙に混ざり合う“ヤンデレTLの醍醐味”とも言える場面。
笑っていいのか、怖がるべきなのか——読者の心も試されます。
誤解が導く、“監禁”へ
高屋にけじめをつけようとする紗雪の行動が、眞人の心に“裏切り”の影を落とす。
盗聴器越しに聞いた独り言が、愛情を一瞬で疑念に変えた瞬間。
その夜、眞人は静かに薬を用意し、紗雪を手錠でベッドに繋ぐ——。
彼の「好き」は、もはや愛ではなく執着そのもの。
この描写は背筋が冷えるほど丁寧で、読後に妙な切なさを残します。
読後の感想・考察
第5話は、ラブコメからヤンデレサスペンスへの“完全な転換点”。
眞人の「恋人を失う恐怖」が暴走し、監禁という歪んだ愛情表現に。これまでの眞人の疑心暗鬼ぶりを考えると、もう紗雪の好きという言葉は届かなそうに思います。
それでも、彼の中では確かに“愛している”という自覚があるのが切ないところ。
その愛が、壊すことでしか確かめられない——そんな歪んだ純粋さが、この物語の痛烈な魅力です。
まとめ
愛し方を間違えてしまった男と、愛をまっすぐ信じようとした女。第5話は、そんな二人の「想いが交わらない悲しさ」が静かに胸を刺す一話でした。
眞人の世界は、もう“紗雪を手放す”という選択肢を失っています。犯罪もいとわない覚悟でしょう。
閉ざされた空間の中で、二人の“愛の形”が改めて問われることになります。
愛か、狂気か。その境界線をどう描くのか、目が離せません。





