一夜を越えた朝——ようやく結ばれたはずの二人の間に流れるのは、安堵ではなく沈黙。
夢のような幸福を噛みしめながらも、眞人の胸には不安が巣食っていた。
「この愛は、間違っているのではないか」
けれど紗雪は、その“歪み”さえも受け入れてしまう。
TLマンガ『ヤンデレ殺し!!』第3話は、愛の原点と壊れゆく境界を見つめる静かな心理劇。
あらすじ(ネタバレ最小)
一夜をともにした翌朝、眞人と紗雪は何事もなかったかのように朝食をとる。
視点は眞人へ。彼は夢のような現実を信じきれずにいた。
そんな彼の脳裏には、束縛の果てに壊れた両親の記憶が蘇る。
「愛しているのに、どうして壊れていくのか」
一方、妹の涼夏が眞人の盗聴行為を暴露するが、紗雪はそれを拒まない。
むしろ、聞こえるように――“彼にだけ届く音”を紡ぐ。
二人の関係は、禁断の静寂へと深まっていく。
第3話の見どころ
眞人の心に巣くう「壊れることへの恐怖」と、紗雪の「壊すことさえ受け入れる愛」。
第3話は、ふたりの関係が“純愛”から“共依存”へと変化していくターニングポイントです。
ヤンデレが怖い——そんな固定観念を優しく裏切る、静かな狂気のエピソード。
眞人の愛は「父親の影」だった
眞人が紗雪を縛れなかった理由。それは過去の家庭にあった。束縛が母を壊した父を見て、愛は抑えるべきものだと信じていた彼。
最後に紗雪が自分のもとに戻ってきてくれれば良いと思っていたが、衝動の果てに手を伸ばした。
この回では“愛の理性と本能の対立”が丁寧に描かれ、彼の狂気に深みを与えている。
妹・涼夏の視点がもたらす「現実」
常識人の涼夏が、読者の“正気”を代弁する。
眞人の盗聴を知った紗雪がどう反応するか——
しかし、彼女の行動はすべての予想を裏切る。“愛されること”への渇きが、恐怖を上回る瞬間。
聞こえる距離の誘惑
盗聴されていることを知った紗雪は、眞人の妄想を裏切り一人で始めてしまう。
またもタイトルのフラグ回収。ヤンデレ殺しが一枚上手だった瞬間は見どころです。
読後の感想・考察
第3話を読み終えると、「ヤンデレ=恐怖」の公式が静かに壊れていく。
眞人の狂気は紗雪の受容によって形を変え、二人は常識の外で安定を手に入れた。
どちらかが欠ければ一瞬で崩れる関係でもあるが、ここからラブコメルートに進むのだろうか。
“好き”と“支配”の境界が消えたとき、愛はどこへ向かうのか注目ですね。
まとめ
『ヤンデレ殺し!!』第3話は、眞人というキャラクターの深層に迫る回。
歪んだ過去を背負いながらも、愛する人を失いたくないという切実な気持ちは人間味に溢れていました。
紗雪の“ヤンデレ殺し”ぶりも健在で、彼女の異常なほどの受け入れ方が物語を新たな段階へ導く。
TLマンガの中でも屈指の心理描写回。静かな狂気と、愛の美しさを同時に味わえる一話です。




