第3巻は、新天地を目指し森を抜ける旅の途中に起きた“仲間たちの進化と出会い”がぎゅっと詰まった巻でした。
甘味大好き駄女神・ニンリルの登場で一気にコメディ色が増す一方、スイが喋れるようになったり、新たなスキルを得たりと成長面の描写がたっぷり。
バトルより日常、でも確かな前進が感じられる一冊です。
3巻の収録話と内容紹介
3巻は11~16話を収録。
11〜12話:駄女神ニンリル降臨と甘味騒動
フェルの信仰対象である女神ニンリルが登場。
ムコーダに“お供え物(甘味)”を要求するために神託を連発し、あんパン・クリームパン・コーヒー牛乳までしっかり要求してくる姿がコミカル。
その加護のおかげで、ムコーダの魔法が少し上達するという副次効果も。
一息つく暇もなくフェルからダンジョン探索に誘われ、3人で挑むことに。
13話:ダンジョン攻略とスイの進化
スイがスライム討伐に積極的に動き、最下層ではコボルトキングと対峙。
大きな苦戦もなく撃破すると、スイがベビースライムから進化し“会話”ができるように。
フェルを「フェルおじちゃん」と呼ぶ微笑ましい関係の変化にも注目。
14〜16話:森での生活、遭遇戦、そして温泉
森の中ではオルトロスの群れや喋るグリフォンと遭遇。
フェルが圧倒的な力で撃破していく一方、ムコーダは現地食材を調理しながら生活を維持。
温泉とヒーリングマッシュルームの発見、スイの新スキル“回復薬生成”獲得など、ワクワクする出来事が続く。
締めはオークとんかつという異世界グルメの新境地へ。
登場人物の動き・印象
- ニンリルの加護により魔法が少し上達。
- 料理によるバフを活かしつつ、冒険者として着実に経験を積んでいる。
- 戦闘面では相変わらずフェル&スイ頼みだが、“生活力”がより強みになっている印象。
- 相変わらず無双の強さだが、スイの進化と成長にどこか甘い表情も。
- グリフォン戦でかすり傷を負ったことで「強者としての矜持」が感じられた。
- この巻の主役とも言えるほど大きく成長。
- 進化して会話が可能になり、読者から見ても魅力が爆発。
- ヒーリングマッシュルームで新スキルを獲得し、回復役としても覚醒。
- 甘味に目がない駄女神。
- 威厳ゼロだが存在感は抜群。物語にコメディリズムが生まれた。
3巻の見どころ・印象に残った展開
第3巻の見どころは、「日常コメディ×仲間の成長」が心地よく混ざり合っている点。
ニンリルの登場で笑いが増え、スイの成長で温もりが深まり、森での冒険ではスケール感もアップしています。
甘味を巡るニンリルの“お供え騒動”が面白い
神託という名の“おねだり”を連発するニンリル。
フェルがチョコを食べた瞬間に神託を飛ばすあたり、完全に覗いてますよね?というタイミングで笑いを誘う。
女神のはずなのに甘味に全振りした軽さがクセになる。
スイの進化と「フェルおじちゃん」関係が尊い
スイが喋れるようになり、行動も知性も一気にレベルアップ。
フェルへの呼び方が「フェルおじちゃん」で定着するくだりは、2人の距離感の近さがよく表れていて温かい。
特にスイの無邪気さが、この作品の癒やし枠として大きく機能してきた。
異世界グルメの幅がさらに広がる
ブラックサーペントの唐揚げ、オークのとんかつなど、料理シーンも進化。
ムコーダの「最初は抵抗あるけど、食べたら美味い」の描写が定番になりつつあり、読者としても“今日は何食べる?”が楽しみになってくる。
3巻全体のテーマ・考察
第3巻は「旅の途中で起こる日常の積み重ね」がテーマの巻。
戦闘や大事件ではなく、食事・移動・成長――その連続の中にキャラの魅力が深く掘り下げられている。
特にスイの成長は読者の感情移入ポイントを大きく広げ、ムコーダ・フェルの“家族的な関係”がより濃く描かれた印象。
ニンリルの登場も今後の女神周りの展開に繋がりそうで、物語の幅が一段広がった巻だった。
まとめ
第3巻は、笑いあり、癒やしあり、成長ありの三拍子がそろった“放浪メシらしい”巻でした。
ニンリルの存在で作品全体のテンションが明るくなり、スイの進化でパーティの魅力も急上昇。
森を抜けた先にどんな出会いや料理が待っているのか――次巻はさらに世界が広がる予感がします。
コミカルでありつつ、仲間たちの絆がじわりと深まる一冊でした。


