第9巻は、ダンジョン攻略後の“ひと息ついた日常回”が中心。
ネットスーパーのテナント解放で世界が広がり、神界の面々の欲望もますます加速。
さらにダリル&イーリスとの温かな交流が描かれ、次なる舞台・海の街ベルレアンへの準備が進む巻でもあります。
戦闘の緊張感よりも、“放浪旅のゆるい良さ”が前面に出た1冊という印象でした。
9巻の収録話と内容紹介
9巻は47~53話を収録。
47話:ダンジョン報告と探索品騒動
ベヒモス討伐で魔剣カラドボルグを入手したムコーダは、価値が高すぎてアイテムボックスに“封印”。
冒険者ギルドでミミックの宝石箱を提出すると高評価を受け、ドランのダンジョンも高難度指定へ格上げされる。
48話:ネットスーパー“テナント解放”
スイ&ドラちゃんの大幅レベルアップ、そしてムコーダの固有スキルが【ネットスーパー+1】に強化。
専門店“スイーツフミヤ”で初めての洋菓子購入回。甘味に目覚める面々がほほえましい。
49話:神界サイドと宝石箱の取引
女神たちもテナント解放に大騒ぎ。
一方ミミックの宝箱は、副ギルマス・ウゴールが交渉し高値売却に成功。
ムコーダの冒険者ランクは一気にC→Aへ。
50話:神託タイムと新メニュー
女神勢が早速スイーツの供え物を要求し、さらにはテナントの“酒屋・ドラッグストア”を要望。
その裏でウゴールが商人ギルドとの交渉に勝利。
夕食は絶品のひき肉オムレツ。
51話:ダリル&イーリスとの出会い
森でオークに襲われていた兄妹を救出。
病気の母のため薬草採取に来ていた事情が明らかに。
コカトリスバーガーで満腹になるほっこり展開。
52話:スイ特製エリクサー
母の病気を治すため、アースドラゴン素材を使ってスイが“劣化版エリクサー”を生成。
ムコーダが適正な取引を教え、ダリルの心にも響く成長エピソードへ。
53話:次なる目的地・海の街へ
フェルの「次は海だ!」宣言から、タイミングよくクラーケン討伐依頼が舞い込み、海の街ベルレアンへ旅立つことに。
登場人物の動き・印象
ネットスーパー強化で世界がまた一段広がる。兄妹への対応に“教育者的優しさ”が出た巻。
甘味にさらに開眼。次の目的地へ引っ張るリーダー力は健在。
レベル爆上がりに加えて、“エリクサー精製”というとんでも才能を発揮。かわいさと有能さが同居。
レベルアップで戦力としてさらに頼もしい。甘味好きが加速したかも。
ギルドサイドの存在感アップ。特にウゴールは商談上手を披露。
神としての威厳はなくなりつつあり、ムコーダのネットスーパーを中心に動いている印象。
この巻の“癒しポイント”。純朴さと健気さが物語に温度を与える。
9巻の見どころ・印象に残った展開
第9巻は、激しい戦いや緊張感よりも、ムコーダたちの“異世界の日常”がやさしく描かれる巻でした。
新要素も、心温まる交流も、次章への橋渡しもここに詰まっています。
ネットスーパーの“テナント解放”で世界がさらに広がる
専門店の味が購入可能になり、作品の食描写にも新たな幅が生まれた。
神界の面々も大興奮で、ムコーダの供物争奪戦はますます激化する予感。
ダリル&イーリスの兄妹エピソードが心温まる
ただ助けて終わりではなく、取引として成立させるムコーダの姿勢が印象的。
また兄妹が食べるコカトリスバーガーの描写は本巻の“優しい山場”。
ドラン編完結、そして海の街ベルリアンへ
冒険者ランクもAに昇格し、旅は次の章へ。
クラーケン討伐の依頼と、ムコーダの“海=BBQ&ビール”妄想のギャップが微笑ましい。
9巻全体のテーマ・考察
第9巻で描かれたのは、“一区切りの後の余韻と、次章へ向けた助走”。
ドランの街での目的(アースドラゴン解体とダンジョン探索)は全て達成し、物語は自然に動き出す。
また、ネットスーパー強化が今後どれほど神界を巻き込むかは見どころ。
さらに、ダリル&イーリスとの交流は、ムコーダの優しさでありつつもただの善意ではなく、“対価の概念”を教えるという教育的な側面も。
放浪旅の中にある“人間的なつながり”が作品の良さでもある。
まとめ
第9巻は、ダンジョンの熱気が冷めた後の温かい“日常回”として、読後にほっとする1冊。
登場人物の成長もあり、新システムも解放され、物語世界はまた広がった。
そして舞台はついに海の街ベルレアンへ。
クラーケン討伐、未知の海産物、ムコーダの妄想BBQ──
食と冒険がどのように融合するのか、次巻も楽しみである。


