第11巻は、10巻ラストに登場した“レッドドラゴンらしき影”が本格的に動き出し、物語が一気に新局面へ。
サクッと討伐→調理のいつもの流れかと思いきや、まさかの「偽物ドラゴン」騒動へ発展。ダンジョン都市エイヴリングの登場やエルランド再登場もあり、シリーズの中でも“新章の幕開け感”が強い巻となっています。
11巻の収録話と内容紹介
11巻は60~63話を収録。
60話:謎のレッドドラゴンを追って
森で飛ぶレッドドラゴンを発見したフェル・スイ・ドラちゃんは即座に追跡。ドラちゃんは以前から気に入らなかったらしく、スイに“ドラゴン狩り講座”を始める。
作戦通りに討伐成功するも、倒したドラゴンは爆発とともに消滅。フェルは「あれは本物ではない」と断言し、魔法で作られた“ハリボテ”だと見抜く。
翌日再び現れたドラゴンは、明らかに“修理され膨らんだ姿”でシュール。
61話:各地でドラゴン騒動 → ダンジョン都市へ
ムコーダがギルドへ報告すると、ベルレアンの街ではドラゴン目撃が相次ぎ軽くパニック状態に。
ドラゴンは南西から現れ、エイヴリングというダンジョン都市方面へ戻っていくらしい。
被害を避けるため、ムコーダ一行はギルドの依頼でエイヴリングへ向かうことに。依頼通しやすくするため冒険者ランクはA→Sへ昇格。
エイヴリングのギルドマスター・ナディヤから、偽ドラゴンの原因究明とダンジョン調査を依頼され、そこに“ドラゴン大好きのエルランド”が再び合流する。
62話:弾む会話と久々の女神たち
フェルはエルランドを拒否するが、彼が「本物のレッドドラゴンを最速解体して食べられます!」と主張した瞬間、態度が急変するのが面白い。
ダンジョン潜りは翌日に控え、ムコーダは買い出しのあと女神・男神へ久々のお供え。
その日の料理は海の幸ぎっしりパエリア。エルランドもワイン手土産に合流し、和やかな食卓に。
63話:ダンジョン突入、そして聖印の力
ダンジョンに入ると大量のゾンビがお出迎え。エルランドが腕前を披露するが、ゾンビは聖魔法でしか完全消滅できず、延々と蘇る厄介な敵だった。
しかしムコーダには女神ニンリルから授かった「聖印」があり、武器や身体に押すだけで聖なる力を付与できるチート仕様。
フェル・スイ・ドラちゃん・エルランド全員が聖印を得て、快調に攻略を進めていく。
登場人物の動き・印象
いつもの食事係ながら、今回は“仲介役”として街と街を行き来し、 Sランク昇格の流れも自然。女神たちとの関係も順調で、聖印の頼もしさが際立つ。
ドラちゃんと共にドラゴン絡みでテンション高め。
エルランドへの態度の変わりようがコミカルで、キャラの“食への執着”が強調される。
ドラゴン狩り講座を受けるなど、戦闘面の活躍が目立つ。
レッドドラゴンへの対抗心が可愛らしくも頼もしい。
再登場で巻の空気が一気に賑やかに。
強烈キャラだが戦力としても有能で、ダンジョン編のキーパーソンの予感。
11巻の見どころ・印象に残った展開
第11巻は、シリーズの“空気”がガラッと変わる転換巻。偽ドラゴンの謎を追う中で、エイヴリングという新たな舞台やエルランドの合流が重なり、冒険色とコメディ色が一気に濃くなる構成が印象的でした。
偽ドラゴンの“修理後バージョン”がシュール
レッドドラゴンを模した偽レッドドラゴン。
ドラちゃんが本物と騙されるほど精工だったが、討伐翌日の偽ドラゴンは「膨らんでいる」「継ぎ目が雑」といった描写にクスッとしてしまう。
エルランドとフェルの“食を通じた絆”
エルランドの「最速で解体し食べられます」発言で、フェルが秒で態度を変えるシーンは完全にギャグ。(ちゃっかりドラちゃんも描写されているのも面白い)
しかしこの二人、目的さえ一致すれば最高に頼れる組み合わせだと感じる。
新章突入感のある“高難度ダンジョン”
ゾンビが聖魔法でしか倒しきれない設定が上手い。
そこへムコーダの“聖印チート”が噛み合い、攻略のテンポと爽快感が跳ね上がる。
11巻全体のテーマ・考察
今巻の裏テーマは「偽物と本物」。
レッドドラゴンに似せた魔法の存在、街をパニックに陥れる“虚像”。
その裏にどんな意図があるのか、どんな存在が関わっているのか。
ムコーダ一行が本物のドラゴンと対峙するのか、あるいは創造主の正体に迫るのか──次巻への布石として巧みに配置されています。
特に、「偽ドラゴンを作るほどの魔力を持つ存在」が人間ではない可能性もあり、物語のスケールが徐々に広がりつつある印象です。
ダンジョン内のゾンビは異世界の勇者や聖女が持つ聖魔法でしか消滅させられない。そこに拠点を構えているということは、ムコーダと一緒に転移してきた地球人という可能性もあるかも・・・
まとめ
第11巻は、戦闘・移動・調査・料理とシリーズの魅力がバランスよく詰まりつつ、
「偽ドラゴン事件」という新たな大きな謎を提示する巻でした。
エルランドの合流で賑やかさもUPし、ダンジョン攻略のワクワク感も増大。
読後には「この偽ドラゴン、絶対ただのネタじゃないな…」という期待と不安が残り、次巻での“黒幕の片鱗”に触れられるかが大きな楽しみになっています。



