第4巻は、レオンハルト王国・カレーリナの街に到着したムコーダ御一行の“街暮らし編”の幕開け。
冒険者ギルドでの再登録、討伐依頼、そしてスイの進化と、日常の延長にちょっとした成長要素が散りばめられた構成でした。
バトルはあくまで簡潔、料理はいつもどおり満点。コミカルな掛け合いが増え、世界の広がりを感じる一冊です。
4巻の収録話と内容紹介
4巻は17話~22話を収録。
17話
レオンハルト王国へ入った途端、盗賊に襲われる商隊を発見。フェルとスイがサクッと制圧し、救った商人ランベルト達とともにカレーリナへ同行。
食事は“いろんな肉の唐揚げ”。匂いにつられてランベルト達まで大満足。
18話
カレーリナへ到着後、冒険者ギルドへ。ムコーダは長期間依頼を受けなかったためGランクが抹消され、再登録する羽目に。
解体場では助けた冒険者ラーシュ達と再会。ロックバードのタンドリーに一同舌鼓。
19話
ランクを上げるため、依頼を選ぶムコーダ。フェルとスイの“シーサーペントを食べたい”という不純な動機に押され、まずはゴブリン討伐でランク上げ。
バトルはあっという間に終了し、スイはビッグスライムへ進化。増殖スキルまで獲得。
20話
ニンリル視点の神界パートからスタート。背後に新たな女神の影。
膨大なゴブリン討伐証明を提出しギルド騒然。ギルドマスターから特例でCランクまで上げるよう打診され、メタルリザードとブラッディホーンブル討伐の依頼を引き受ける。
料理はロックバードのバンバンジー。
21話
商人ランベルトの店を訪ね、冒険用の装備を一新。恩義からすべて無料にしてくれる太っ腹ぶり。
その足でメタルリザード討伐へ向かう。
22話
現れたのはミスリルを食べて変異した“ミスリルリザード”。フェルが瞬殺し「準備運動にもならん」と一蹴。
続くブラッディホーンブルの群れもフェル&スイで一掃。
この日のメニューはカツサンド。そしてフェルとスイが炭酸飲料初体験。あまりの気に入りようにフェルは1.5Lを飲み干し、ゲップが止まらなくなるオチ付き。
登場人物の動き・印象
新たな街での生活が始まり、冒険者としての基盤を構築。ランク上げの必要性を自覚するなど、珍しく積極性が見えた巻。
食への執念が今回も強い。シーサーペントへの異様なこだわりが笑いどころ。
カツサンドやコーラに夢中になる姿は完全に“食いしん坊魔獣”。
ビッグスライムに進化し、戦力としても存在感アップ。増殖スキルの獲得で今後の活躍も確実。
コーラに大喜びする様子が子どもらしくて可愛い。
相変わらず甘味狙いの神託を送り続けるが、背後に新たな気配。神界パートの動きが今後の伏線になりそう。
一巻限りのゲスト感はあるが、ムコーダを自然に街へと案内する役割を果たしていた。
4巻の見どころ・印象に残った展開
第4巻は“新しい街×冒険者ランク上げ×日常の充実”がバランスよく並んだ回。大事件こそないものの、読者として心地よいテンポで進む巻でした。
スイ、ビッグスライムへ進化!
ゴブリン討伐を終えたスイがついに再び進化。大きさを変えられるだけでなく増殖スキルまで獲得し、まさにチート化の入り口。
ムコーダのパーティ内での存在感が一段と増した象徴的なシーン。
神界パートに新女神登場の気配
ニンリルの背後に現れた謎の女神。
“甘味の横流し”がバレている可能性も含め、今後の神界パートが一気に動き出しそうな雰囲気が漂う。
フェルとスイのコーラ初体験が微笑ましい
異世界の食卓にコーラが登場。フェルの「泥水みたいな色」発言からの1.5L完飲は個人的に印象に残っている。
本作らしい“異世界×現代食のギャップ”が楽しめる名場面。
4巻全体のテーマ・考察
この巻を通して描かれたのは、「新天地での生活基盤づくり」と「仲間の成長」。
冒険者ランク上げという目的が明確に置かれ、スイの進化やギルドとの距離感が徐々に固まっていくことで、物語が次のステージに向かって動き出した感があります。
また、相変わらずバトルは最小限で、食と日常シーンが軸になっているため、シリーズの“スローライフ性”がより強調された巻。
神界パートの新展開もあり、これからの対女神たちの関係性も少しずつ広がりそうです。
まとめ
第4巻は、カレーリナの街での再出発とスイの成長が軸の“転換点”のような内容でした。
大冒険があるわけではなくとも、キャラの個性がにじむ掛け合いと食卓の描写が心地よく、読み終えた後にほっこりする巻です。
次巻では、フェルが異常に気にしている“シーサーペント”の行方、
そして神界の新女神の正体など、物語の広がりが楽しみになってきます。
ランク上げを終えたムコーダ達の次の旅も期待大です。


