第6巻は、ワイバーン討伐から始まり、神界パート、念願の風呂、ワイバーンシチュー、そしてアースドラゴンとの遭遇と、盛りだくさんの内容が詰まった一冊。
長らく滞在していたカレーリナの街から、ついに次の街へ向けて旅立つ準備も進み、物語は新たなフェーズへ突入していきます。
ラストには不穏なドラゴンの影も描かれ、先への期待が高まる巻でした。
6巻の収録話と内容紹介
6巻は29~34話を収録。
第29話:ワイバーン群れ討伐とメンチカツ三種対決
フェルがスイに戦いを教える形で、ワイバーンの群れを瞬殺。ムコーダは土魔法で作ったシェルターに避難しつつ見守る形に。
討伐後のメインイベントは“三種のメンチカツ”。ブラッディホーンブル、オークジェネラル、合い挽きの三種を食べ比べ、それぞれの好みが分かれるという食レポ回のような楽しさがある。
第30話:神界パート勃発、女神たちの個別要求ラッシュ
ワイバーンの危機が去り、話は神界パートへ。ニンリル・キシャール・ルサールカら女神たちが、ムコーダに“こっそり”個別に供物の増量を依頼してくる。
しかしまとめて送る仕組み上、どう考えてもバレる…というコントのような展開に。
その後ムコーダは念願の「風呂」を購入し、屋外で入浴する計画を立てる。
第31話:念願の入浴!フェル不在のまったり時間
森に移動して土魔法で囲いを作り、スイと一緒に入浴タイムへ。久々の湯船、シャンプー、温泉の素、さらにコーヒー牛乳とフルーツ牛乳まで揃えて、完全に異世界銭湯化。
夕暮れになってもフェルは狩りから戻らず、ムコーダはワイバーン肉でシチューを作る。
第32話:フェル帰還、まさかのアースドラゴン撃破
帰ってきたフェルは地竜(アースドラゴン)を狩ってきたと言い出す。高ランクどころではないレアモンスターのため、買い取り依頼にも出せずムコーダは頭を抱える。
さらに埃まみれのフェルを見て、ムコーダが入浴を強制。犬用シャンプーとブラシでゴシゴシ洗われ、まんざらでもない表情を見せるフェルが微笑ましい。
第33話:ドラゴン解体のため旅路の計画が動き出す
ドラゴン解体の相談をギルドでするが、現街では不可能と判断される。
ドランの街のギルドマスターが詳しいとの情報を得て、
「カレーリナ → クレール → ドラン → ネイホフ → ベルレアン」
という旅ルートが決定。
さらに各街で高ランク依頼を受けてほしいと頼まれ、正式に“旅の目的”が整理された巻でもある。
第34話:クレールの街へ移動、森の異変を調査へ
翌日にはクレールへ到着。ギルドマスター(ドワーフ)から“イシュタムの森の異変調査”を依頼され、森へ。
ヴェノムタランチュラを難なく撃破するが、ラストにはドラゴンらしき影が不穏にこちらを見つめていた。
登場人物の動き・印象
念願の風呂をついに入手し、生活の質がさらに向上。女神たちの要求をさばく“異世界の中間管理職感”も強まってきた。
アースドラゴン討伐という圧倒的な戦果を挙げつつ、風呂に入ってサラサラな姿を見せる“ギャップ可愛い”面が強調された巻。
ワイバーン討伐での活躍はもちろん、風呂を一緒に楽しむなど癒し要素が増加。ムコーダとの距離感もより家族的に。
個別要求によるドタバタがあり、キャラ性が一気に濃くなった。
6巻の見どころ・印象に残った展開
戦闘・グルメ・生活改善・旅の目的整理と、『放浪メシ』らしい魅力がフルコースで盛り込まれた巻。
中でも笑える場面や生活描写の充実が際立ち、読者の満足度が高い構成になっている。
女神たちの“個別要求事件”が面白すぎる
ニンリル・キシャール・ルサールカのそれぞれが「こっそり私だけ多めにお願い」とか「甘味以外にもあれが欲しい」だの頼んでくるくだりがまさにギャグシーン。
さらにアグニが「じゃあ俺も要求する」と割り込んでくるのも最高だった。
6巻での神界パートは少なめだが満足度は高い。
フェル、まさかの“入浴シーン”で新しい一面が開花
汚れたフェルを犬用シャンプー、ブラシで洗うという、これまでにない生活的な描写が非常に楽しい。
洗われているうちにまんざらでもなさそうなフェルが完全に“大型犬”。
ムコーダも犬だと思ったのか、フェルが仕上がった後に「まるでフェンリルみたい」と漏らしていたのも秀逸。
新章突入感のある旅ルートの整理
「カレーリナ → クレール → ドラン → ネイホフ → ベルレアン」という今後の旅路が明確化。
ドラゴン解体とシーサーペント討伐という目的が定まり、次巻以降の展開が一気に見通しやすくなった。
6巻全体のテーマ・考察
第6巻は「生活の質の向上」と「次のステージへの移行」が同居した巻。
風呂の導入は“異世界生活の安定”を象徴し、一方でアースドラゴンや旅路の整理は“新たな挑戦・未踏の領域への突入”が示された感じがした。
また、ムコーダの“供物係”としてのポジションが確立しつつあり、神界との関係性も物語の軸に絡んでいく予兆がある。
ラストのドラゴンは、今後の緊張感を持たせる配置として非常に効果的だった。
まとめ
第6巻は、放浪メシらしい“グルメ×冒険×生活”の三本柱が伸び伸びと描かれ、安定して楽しめる一冊でした。
特に風呂回の満足度が突出して高く、キャラの可愛さも存分に発揮されています。
新たな街、新たな目的、新たな脅威――物語はさらに広がりを見せ、次巻でイシュタムの森のドラゴンがどう動くのか、とても気になる終わり方でした。


