第10巻では、これまで謎に包まれていた“奈落での3年間”が描かれます。
ライトがレベル15の少年から、復讐を誓う最強の冒険者へと変わっていく過程──その裏で積み重ねた努力と絆が、ここに凝縮。
これまでの復讐劇とは一線を画す、スローライフ&ダンジョン運営風の閑話的な1冊です。(1巻読破後に10巻を読んでも70話以外は理解できる内容かと思います。)
10巻の収録話と内容紹介
第10巻は70話~77話までを収録。
70話では、シオン捕獲の報告と共にライトの妹・ユメの消息が明かされる。王女リリスによって保護され、現在は人種王国でメイド見習いとして働いているという。
そして71話以降、物語は過去に遡り──ライトが奈落へ落ちてから地上へ戻るまでの3年間が描かれる。
メイによる“ずるい”レベリング指導(石投げ経験値法)に始まり、奈落でのサバイバル生活、守護者オロチとの死闘、そしてレベル9999到達までの軌跡。
途中、フォーナイン4姉妹(メイ・アオユキ・エリー・ナズナ)誕生の経緯も描かれ、ライトたちの成長譚としても非常に読み応えのある構成となっている。
登場人物の動き・印象
これまで語られなかった「奈落時代の努力」が明かされ、地道に成長してきた姿が強調される。メイとの関係性も深まり、彼の“人としての原点”が再確認できる巻。
レベリング指南や生活面でのサポートを通じて、ライトにとって欠かせない存在であることが改めて浮き彫りに。ショタコン疑惑(!?)が浮上するほどのライト溺愛ぶりも見どころ。
奈落で次々と召喚され、ライトの最初の仲間“フォーナイン4姉妹”が誕生。後の物語で重要な役割を担うレベル9999のチートキャラたちの初登場がここに集約されている。
あえてピックアップするほどでもないが、戦闘描写で2話程度費やしていたので一応ね。
奈落のダンジョンコアを守護している。レベル5000
10巻の見どころ・印象に残った展開
復讐の連鎖をいったん離れ、“努力と日常”を描いたこの巻。
静けさの中で育まれる絆が、ライトの原動力をよりリアルに感じさせるエピソード群です。
奈落の“3年間”がついに語られる
1巻でカットされていた空白期間が、丁寧に描かれる回想編。
レベル15の少年が、レベル9999の最強冒険者へと至るまでの過程が克明に描かれ、物語全体の厚みが一気に増す。
メイの万能サポートと“奇抜なレベリング法”
魔力糸でモンスターを拘束→ライトが石を投げて戦闘参加扱いにするという、まさかの経験値稼ぎ。
1~9巻までのイメージで、参謀キャラと言ったらエリーだったが、メイの頭脳と柔軟な発想が際立ち魅力が光る巻。
奈落での生活とフォーナイン4姉妹の誕生
風呂・食事・勉強など、奈落の中とは思えない充実した日常描写が展開。
やがてメイと同格の仲間たちが次々と召喚され、チームとしての基盤が完成する。
のちの「四姉妹」誕生秘話としてシリーズファンにはたまらない展開。
10巻全体のテーマ・考察
この巻のテーマは「対立から絆へ」、そして「孤独から信頼へ」。
これまで復讐一辺倒に見えたライトの内面に、“仲間と共に強くなる”という人間的成長の側面が描かれている。
また、メイとの関係にはどこか温かみがあり、彼女の支えがなければ今のライトは存在しなかったとわかる構成。
過去編でありながら、1巻の補完・伏線回収・次巻への布石がすべて含まれた重要な巻でもある。
奈落の生活パートには“スローライフ”や“ダンジョン運営”を彷彿とさせる要素もあり、作品の幅を広げている。
まとめ
『無限ガチャ』第10巻は、これまでの激しい復讐劇から一転して、ライトの“成長と始まり”を描いた過去回想編。
奈落での3年間が明かされたことで、ライトの強さや冷徹さに“積み重ねの説得力”が加わった印象です。
ラストでは、故郷の壊滅と妹ユメの生存が示唆され、物語は再び復讐編へと戻る。
果たして次に狙う4人目の復讐対象は誰なのか──。
原点回帰の余韻を残しつつ、次巻への期待が大きく膨らむ巻でした。





