22巻でダイゴとの激闘に決着をつけたライトたちは、いよいよ復讐対象・オボロへ近づくため、新たな舞台「鬼島国」へ足を踏み入れます。
23巻は大きな戦いが続く巻ではなく、鬼島国という国の仕組みや姫巫女ヨツハを取り巻く事情が少しずつ明かされる”種まき”の一冊です。
最初は護衛クエストをこなして終わるかと思いきや、思わぬ事件へ巻き込まれ、ライト(ダーク)は鬼島国の闇へ深く関わっていくことになります。
オボロの怪しい行動や鬼神の存在など、今後の展開が気になる伏線も多く、鬼島国編の幕開けとして見応え十分の内容でした。
23巻の収録話と内容紹介
23巻は171~178話を収録。
第171話
ミキが巨塔から姿を消したことで、シリカの記憶にも違和感が生まれるところから物語は始まります。一方、ライトたちは今回の侵入事件を反省し、外部だけでなく内部監視の必要性を再認識しました。
そしてダークとしてA級冒険者へ昇格するため、新たな護衛クエストを受注。その護衛対象が鬼島国の姫巫女ヨツハであり、オボロへ繋がる新章が幕を開けます。
第172話
ナイン公国会議への参加を控えたリリスを護衛するためにも、ダークはA級昇格が必須となります。そのためヨツハ護衛任務が本格的に動き始めました。
一方で場面はオボロへ移り、人種を生贄に捧げる不穏な儀式が描かれます。鬼島国で何か大きな陰謀が進んでいることを感じさせる一話でした。
第173話
ダーク、ネムム、ゴールドはヨツハ一行と合流し、鬼島国へ向かいます。移動中には姫巫女や鬼神伝説、鬼島国の政治体制など世界観が詳しく語られました。
しかしヨツハはダークたちへ冷たい態度を取り続け、ライトはその裏に別の事情があることを感じ取ります。
第174話
鬼島国を目前にした船上で、ヨツハは故郷を見つめながら暗い表情を見せます。その姿は、まるで処刑場へ向かう罪人のようにも映りました。(ライト談)
普段のおどけた態度との落差が印象的で、彼女が何か大きな秘密を抱えていることが伝わります。そして鬼島国へ到着したダークたちは、ついにオボロと再会を果たします。
第175話
変装中のダークはオボロ本人を目の前にしながらも、復讐心を抑えて任務を優先します。一方でヨツハの日常も描かれ、妹アヤメを大切に思う優しい姉としての一面が明らかになりました。
しかし夜になると、「生贄になりたくない」という本音が語られ、物語はさらに不穏な方向へ進み始めます。
第176話
任務を終えたダークたちは鬼島国を見て回ろうとしますが、奉行所へ連行されてしまいます。ヨツハとアヤメが姿を消したことで容疑をかけられたためです。
現場の鬼人たちは理解を示していたものの、上層部は強引に拷問まで命じる強硬姿勢を見せます。
第177話
当然おとなしく捕まるダークたちではなく、奉行所で戦闘が始まります。相手はレベル1500のソウゲンでしたが、ダークたちとの実力差は歴然。
それでも奉行所の鬼人たちを巻き込みたくないライトは、倒すよりも穏便な脱出を選ぼうとします。思わぬところで主人公らしい配慮が光る戦いとなりました。
登場人物の動き・印象
今回のライトは復讐よりも状況判断を優先する場面が目立ちました。オボロを目の前にしても感情を抑え、奉行所でも無用な被害を出さないよう立ち回る姿は、奈落の王としての器の大きさを感じさせます。一方で鬼島国の違和感を見逃さない洞察力も健在でした。
23巻最大のキーパーソンです。序盤は高圧的で差別的な姫巫女という印象でしたが、物語が進むにつれて本当は死を恐れる普通の少女であることが明らかになります。妹アヤメとのやり取りも含め、一気に感情移入できるキャラクターになりました。
1巻以来の登場!?ながら存在感は抜群でした。生贄を捧げる不気味な行動や、ヨツハとの関係など、復讐対象であるだけでなく鬼島国の黒幕としての雰囲気も強まっています。今後どのような形でライトと対峙するのか期待が高まります。
奉行所で立ちはだかった上浄家の実力者。ダークたちと比べれば戦力差は大きいものの、ライトの足止め役として一定の存在感を見せています。
23巻の見どころ・印象に残った展開
23巻は派手な決戦よりも、鬼島国という新たな舞台の全貌を少しずつ見せていく構成が印象的でした。伏線や違和感が丁寧に積み重ねられており、「何が起きているのか知りたい」と自然にページをめくってしまう一冊です。
ヨツハ護衛から鬼島国の闇へ――自然に物語へ引き込むストーリー構成
最初は護衛クエストを終え、そのままオボロとの復讐劇へ進むものだと思っていました。
しかし実際にはヨツハ自身が物語の中心人物となり、鬼島国の抱える問題へライトたちが巻き込まれていきます。
クエスト達成後も事件が続き、「ここからが本番」と感じさせる流れは非常に自然でした。新章の導入として完成度の高い構成だったと思います。
オボロの生贄儀式――鬼神との関係が気になる不穏な伏線
172話で描かれた生贄のシーンは、23巻でも特に不気味な場面でした。
オボロは「絶対的強さへ近づいた」と語っていますが、その力が鬼神由来なのか、それとも別の存在なのかはまだ分かりません。
復讐相手としてだけでなく、鬼島国そのものの闇を象徴する存在として描かれており、今後の核心へ繋がる重要な伏線になりそうです。
巨塔の魔女を頼るヨツハ――見えないところで何かが動いている
ヨツハは追い詰められた末、「巨塔の魔女」に希望を見出そうとします。
読者視点では巨塔の魔女がエリーであることを知っているため、余計に違和感を覚える展開でした。
ライトがその話を知らないことを考えると、オボロが裏で何らかの情報操作を行っている可能性もありそうです。この小さな違和感が、後々大きな真実へ繋がる予感がしました。
ゴールド、ネムムの夫婦漫才は健在
ライトが冒険者ダークとして活動するということは、必然的にゴールドとネムムもセットで活動。
ネムムの天然ボケにツッコむゴールド。この掛け合いが面白かったです。
あまりストーリーには関係がないので密かな楽しみ、おまけ要素でした。
23巻全体のテーマ・考察
23巻は大きな決着こそありませんが、ヨツハ、鬼神、生贄、オボロ、上浄家と下柱家など、今後の展開に欠かせない要素が一気に登場しました。
特にヨツハの境遇を見る限り、上浄家や下柱家、そしてオボロが鬼神へ姫巫女を生贄として捧げようとしている構図なのではないかと感じます。
また、クエスト完了後に鬼島国を離れるのではなく、「姫巫女失踪事件」から奉行所での騒動へと自然につなげる構成も見事でした。
読者に「鬼島国にはまだ何かある」と思わせる引きが非常に強く、新章の導入として理想的な一冊だったと思います。
まとめ
23巻は鬼島国編の開幕を描く導入巻でした。
派手なバトルよりも世界観や伏線を重視した内容ですが、その分、鬼島国の異常さやヨツハを取り巻く状況が丁寧に描かれています。
オボロの不穏な動き、生贄の真相、鬼神の存在など気になる要素も多く、「次巻ではいよいよ真相が明かされるのでは」と期待が高まりました。
鬼島国編のスタートとして、これから大きく物語が動き出す予感に満ちた一冊です。




