第2巻は、シリーズ序盤の山場ともいえる“呂布奉先VSトール”の最終決戦がついに幕を下ろす。
そして新たに始まるアダムVSゼウスの衝撃展開。死闘の緊張感、キャラクターの内面、そして神と人類が互いを認め合う瞬間が凝縮された密度の高い巻だった。特に呂布とトールの関係性が、ただの敵対では終わらない深さを見せてくれる。
2巻の収録話と内容紹介
第5話から第9話まで収録される本巻は、前半が呂布奉先VSトールのクライマックス、後半がアダムVSゼウスの立ち上がりという構成。
第5話
トールが覚醒したミョルニルを振りかざし、本気の「トールハンマー」を放つ。呂布は奇跡的に耐えるものの、足は粉砕され満身創痍。それでも愛馬・赤兎に跨がり再び立ち向かう。
第6話
呂布の過去が語られる。孤独の中で武を極め、「天喰」に到達した日。呂布とトールは互いに“生涯最高の一撃”を直感し激突するが、勝負はトールの圧勝。呂布はすべてを出し切り、満ち足りた表情で散る。
第7話
トールは呂布への敬意を示すように、呂布軍の突撃を“手向け”として受け止め全滅させる。ワルキューレ姉妹の会話では、神器化したランドグリーズの消滅が語られ、戦いの残酷さも描かれる。
第8話
2回戦目の対戦カードがアダムVSゼウスに決定。アダムはレギンレイヴが神器化したメリケンサックを武器とし、肉弾戦に臨む構えを見せる。
第9話
ゼウスの亜光速ジャブをアダムがすべて回避。さらに“神虚視”の能力で神技をコピーし反撃。ゼウスを圧倒する展開で、2巻は幕を閉じる。
登場人物の動き・印象
本巻で最も印象的だったのは、呂布が“孤高の武人”から“真の強者と向き合う男”へ変わっていく姿。過去エピソードによって彼の異常な強さの理由が補強され、生涯最高の瞬間を迎えるにふさわしいドラマが付与された。最期の笑みには、武に生きた男の満足がにじむ。
登場直後から静かな威圧感を放つ“始まりの人類”。神技すら模倣する「神虚視」で、読者の想像を超える強さを見せつける。言葉少ななところも神秘的で、彼がなぜここまで戦えるのか、その裏にある意志が気になるキャラクター。
冷淡で感情を見せない神として描かれ続けてきたが、呂布との死闘を通して価値観が揺らぎ始めた存在。呂布軍に「かかってこい」と受けて立ち、呂布を「我が友」と呼ぶ場面には、トール自身の“変化”が明確に刻まれている。
議長という重役らしい威厳はあるが、同時に“戦いたい衝動”を抑えられない戦闘狂の顔も持つ。シヴァを押しのけて参戦する姿は、良くも悪くも自分に正直な神らしい。
2巻の見どころ・印象に残った展開
第2巻の魅力は、ただのバトル漫画では終わらない“強者同士の敬意”と“想像を越える能力の解放”にある。ここでは、特に印象に残ったポイントを深掘りしていく。
生涯最高の一撃「天喰」VS「トールハンマー」
呂布が生涯でただ一度だけ放った「天喰」、そしてトールが数千年ぶりに振るう覚醒ミョルニルの「トールハンマー」。
互いが“これが人生最高”と直感する瞬間が重なり合う演出は圧巻。決着はトールの勝利だが、呂布の満足した表情がそのままドラマとして成立している。
トールが呂布を“友”と呼ぶ重み
戦いを終えた後、呂布軍すべてを受け止めたトール。そして呂布の名前に“我が友”とフリガナが添えられた演出は、神が初めて人を認めた象徴的なシーン。
1回戦は勝敗以上の意味を持って幕を閉じた。
アダムの「神虚視」がもたらす衝撃
ゼウスの亜光速ジャブをいとも簡単に見切り、同じ速さで模倣して返すアダム。
その能力のシンプルさと、対神戦における圧倒的適性は、読者に「アダムこそ最強なのでは?」と思わせるほどの説得力があった。
2巻全体のテーマ・考察
第2巻の核心テーマは「強者同士の敬意」と「神と人類の境界が崩れていく瞬間」だと感じた。
呂布とトールの戦いでは、敵として相まみえながらも、武を極めた者だけが分かり合える関係が生まれる。対してアダムVSゼウスは、“生まれながらの人間”が神を超える可能性を示しており、物語全体の構図が大きく揺らぎ始めている。
戦う理由、立場、力の意味──それぞれの根幹に触れるような巻だった。
まとめ
呂布とトールの戦いが終わったことでひとつの区切りがついたが、余韻は非常に大きい。呂布の最後の表情は、敗北ではなく達成の顔だったし、トールが抱いた敬意もまた心に残る。
そして2回戦がまさかのアダムVSゼウスという超大型カード。しかも開始早々アダムが圧倒する展開で終わるため、続巻への期待が否応なく高まる。
次巻では、ゼウスがどう反撃し、アダムの「神虚視」がどこまで通用するのか。その勝敗がシリーズ全体にどんな意味をもたらすのか──まさに目が離せない展開に突入していく。


