終末のワルキューレ11巻ネタバレ感想|釈迦が人類側で参戦!?零福誕生と衝撃の因縁が明かされる転換巻

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雷電とシヴァの激闘が幕を下ろし、深い余韻と哀悼が漂う中――物語は一気に次なる“異質な戦い”へと突入する第11巻。


釈迦のまさかの行動、七福神の合体、そして零福という呪われた存在の誕生。
戦いの物語から「信念」と「堕落」をえぐる哲学的な局面へと踏み込む、シリーズ屈指の転換点となる一冊です。

『終ワル』巻ごとレビュー一覧

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11巻の収録話と内容紹介

11巻は42話~45話を収録。

第42話

雷電VSシヴァ決着。勝者はシヴァ。
雷電を見送るのは涙ではなく、力士たちの四股。最期の花道として踏み続けられる四股の音は、いつまでも天界に響いたという。
その光景を見たシヴァは「いい漢にはいい仲間がいる」と語り、自身もまた仲間たちに囲まれていることを実感する。


ワルキューレ側では、ゲルが姉スルーズとの思い出を涙ながらに回想し、ブリュンヒルデもまた一人で涙を流す。
一方、ゼウスは次の第6回戦の出場者として、釈迦に声をかける。

第43話

釈迦はあっさりと6回戦への出場を了承。
その裏で、ブリュンヒルデの傷の手当てのため医務室へ向かったゲルは、そこに七福神が集っている場面に遭遇する。
毘沙門天に詰められ、完全アウェーな空気の中、ジャック・ザ・リッパーが仲介に入って場は収まる。


その際、ゲルの「7」という言葉に、意味深な反応を見せるジャック。
そしてついに釈迦が入場――しかし、神側のゲートから現れた釈迦は、人類側のゲートへと歩き出し、「オレ人類側から出るんで、頼(よろ)」と宣言する。

第44話

釈迦の爆弾発言に、会場は騒然。しかしブリュンヒルデだけは動じない。
実は事前に釈迦から「人類側から出る」と告げられていたのだった。
さらに二人の間には、ラグナロク以前から続く因縁があった可能性も示唆される。


対戦相手は毘沙門天――のはずが、なぜか七福神全員が登場し、「われらはもとより一神」と合体を開始。
こうして誕生したのが、異形の存在・零福だった。

第45話

零福の正体と、その壮絶な過去が明かされる。
かつての零福は、誰よりも心優しい神だった。不幸にあえぐ人間たちの苦しみを吸い取り、幸せにし続けた。


だが、人間たちは幸福になったのではなく、ただ堕落していっただけだった。
さらに、幸福に満ちた表情で釈迦を信奉する人々と遭遇したことで、零福の愛は嫉妬と憎悪へと反転する。
現代に戻り、「君が悪いんだ」と釈迦に語りかける零福だったが、釈迦はその因縁すら覚えていなかった――。

登場人物の動き・印象

雷電為右衛門

敗北=終わりではなく、仲間たちの四股により“誇りある最期”として昇華された存在。強さだけでなく、生き様が深く刻まれた。

釈迦

神側でありながら、人類側として参戦するという前代未聞の裏切り。敵味方や立場すら超越した“釈迦という存在”が鮮明になる。

ブリュンヒルデ

普段は見せない脆さを一人で抱える姿が描写され、戦略家でありながら姉としての苦悩も強く印象付けられた。

ゲル

姉を失った悲しみを抱えながらも、ブリュンヒルデを支えようと行動する姿が健気で切ない。精神的な成長が見える。

シヴァ

雷電との死闘を制した神でありながら、勝者の傲慢さではなく、敗者への深い敬意を見せる姿が印象的。仲間を持つ者としての“漢気”が強調された巻でもある。

零福(七福神)

かつては純粋な愛の神だったが、人間への絶望によって歪んだ存在へと変貌。哀しきヴィランとして強烈な印象を残す。

11巻の見どころ・印象に残った展開

11巻は、バトルの余韻から一転し、「価値観」と「立場」が大きく揺さぶられる巻。
熱さと哀しさ、衝撃と皮肉が同時に押し寄せる見どころが詰まっています。

雷電の最期と、シヴァの“漢”としての視線

力士たちの四股による葬送という演出があまりにも美しく、雷電という男の誇りを最後まで守り抜いた名場面。
それを真正面から受け止め、「いい漢にはいい仲間がいる」と語るシヴァの姿もまた胸を打つ。

そんなシヴァには、親友のルドラや、インドラ、ヴィシュヌなどインド神界の面々が駆け寄ってくる。シヴァもまた仲間に愛されていた点も印象的。

釈迦、まさかの人類側参戦

神側でありながら、人類側から出場するという衝撃展開。
「オレは釈迦(オレ)だ」という立場を超越したスタンスが、この作品らしさを象徴している。

8~9巻で裏切りの兆候があり、てっきりロキと裏でやり合うものだと思っていましたが、堂々と人類側宣言するシーンは見どころ。

七福神合体、零福誕生のインパクト

コミカル寄りだった七福神が、まさかのホラー寄り存在へと変貌。
実況のヘイムダルも「めちゃくちゃヤバい奴きた」というのが心の中での第一印象だった。
ジャックの意味深な「7」への反応が伏線として見事に回収される瞬間でもある。

11巻全体のテーマ・考察

第11巻のテーマは、「善意が歪む瞬間」と「信念の純度」だと感じました。
零福は人間を救おうとした“善なる神”だったにもかかわらず、人間の堕落と釈迦への嫉妬によって、憎悪の存在へと変わってしまう。


一方で釈迦は、神でありながら人類側につき、敵味方の区分すら超えて「オレはオレだ」と言い切る。

過去巻で語られていた“神側の裏切り者・釈迦”という設定が、ここまで堂々と、しかも完全に納得できる形で描かれるのが見事。
善悪、神と人、敵と味方――そういった区分が、この巻では完全に崩壊していきます。

まとめ

雷電の戦いの余韻に胸を締め付けられた直後、釈迦という“規格外”の存在が物語を一気に別次元へと引き上げる第11巻。
零福という哀しき存在の誕生も含め、単なるバトル漫画では終わらない深層へと踏み込んだ印象です。

次巻はいよいよ、釈迦VS零福の本格的な激突。
「信念」と「憎悪」が正面衝突する戦いが、どんな結末を迎えるのか――期待せずにはいられません。

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