第26巻は、ついに決着を迎える「シモ・ヘイヘVSロキ」と、物語の核心に一気に踏み込む「坂田金時VSオーディン」の開幕が描かれる一冊。
勝敗という意味では一試合分だが、体感的な密度はそれ以上。
人類が勝利へ王手をかけた高揚感と、それを一瞬で塗り替える“ラスボスの存在感”が同居する、まさにクライマックス前夜と呼ぶにふさわしい巻だった。
26巻の収録話と内容紹介
第26巻は、第104話から第109話を収録。
物語はシモ・ヘイヘがロキの額を撃ち抜いた直後から再開するが、それは本物ではなくロキの分身だったことが判明。
ロキは複数のコピー能力と転移能力を駆使し、徹底した罠と撹乱でシモ・ヘイヘを追い詰めにかかる。
しかし、命の有無を見極める異常な観察眼を持つシモ・ヘイヘは、最後まで本物を見失わず、ついにロキを撃破。
この勝利によって人類は6勝5敗とし、ラグナロク勝利に王手をかける。
その直後、ブリュンヒルデの前に姿を現すオーディン。
彼の口から語られる“世界すべての終末”という狂気の目的、そしてそれに対抗すべく送り出される坂田金時。
第12回戦、坂田金時VSオーディンがついに幕を開ける。
登場人物の動き・印象
この巻で完全に“人類側最強クラスの異常者”という印象を確立した存在。
ロキの能力を前にしても冷静さを失わず、最後まで照準を外さない姿は、技巧ではなく「本質」で神を上回った勝利だった。
トリックスターとしての真価を余すことなく見せたが、最後に描かれたのはブリュンヒルデへの純粋すぎる狂気の愛。
悪神でありながら、最期はどこか美しく、切ない退場となった。
人類側の切り札として登場。
オーディンを知っているような口ぶり、そして意味深な「ゴルニルの意志を継ぐ者」という発言により、一気に謎の深い存在へと変わった。
これまでの不気味な黒幕像を一気に更新する、圧倒的なラスボス感。
目的は世界の支配ですらなく「すべての破滅」。もはや対話不能な存在として描かれる。
26巻の見どころ・印象に残った展開
第26巻の見どころは、単なる勝敗では終わらない“格の違い”と“物語の加速”にある。
神と人類の戦いが、明確に次のフェーズへ進んだことを実感させる展開が続く。
シモ・ヘイヘ、完全勝利という異常事態
ロキの能力は決して弱くなく、むしろ神の中でも上位クラスに見えるものだった。
それをシモ・ヘイヘは無傷(臓器を代償にしたダメージを除く)で、しかも最後まで主導権を握ったまま倒してみせる。
「命を撃った痛みを忘れない」という設定が、ここまで説得力を持つとは思わなかった。
ロキの最期に描かれた“狂気の純愛”
ロキの死に際に描かれる、ブリュンヒルデへの混じり気のない想い。相手への敬意でもなく、全力を出し切った満足感でもないのがこれまでのバトルと違い印象的。
彼女がそれに気づき、涙を流す描写も含めて、ただの敗北では終わらせない余韻が残った。
悪神であっても、感情の重さは否定されない──そんな一幕だった。
オーディン登場、圧倒的ラスボス感
空から降臨し、闇に包まれ、若返る。
演出のすべてが「今までとは違う」と語っている。
正直、この時点で「坂田金時、無理では?」と思わせる説得力があった。
坂田金時の意味深すぎる一言
「俺もゴルニルの意志を継ぐ者だ」という発言に、オーディンが動揺する。
ここにきて人類側から“神話の核心”に触れる人物が出てきたことが、物語のスケールを一段引き上げた。
25巻で、オーディンがゴルニルの書を頼りに魔剣グラムを発見したことは分かっているが、ゴルニルとは?原初神と関係するのか・・・続きが気になる展開。
26巻全体のテーマ・考察
第26巻のテーマは、「勝利の先にある絶望」だと感じた。
人類はついに王手をかけたが、その瞬間に現れるのがオーディンという絶対的存在。
坂田金時が一時的にマウントを取ったように見えても、物語構造的にここで人類が勝つとは考えにくい。
原初神という存在が示唆されている以上、12回戦は“復活へ繋ぐ敗北”になる可能性が高い。
希望を見せてから叩き落とす、そのための巻だったようにも思える。
まとめ
シモ・ヘイヘVSロキの決着で一息つく間もなく、物語は一気に最終局面へ突入。
第26巻は、勝利の快感と不安を同時に味わわせる、非常に感情を揺さぶられる一冊だった。
坂田金時はどこまで食い下がれるのか。
オーディンは倒せない存在なのか。
そして、その先に待つ“原初神”の復活はあるのか。
次巻は、間違いなく物語が大きく動く。
そう確信させてくれる、強烈な引きで26巻は幕を閉じる。


