終末のワルキューレ8巻レビュー|ジャックの勝利と雷電覚醒、そして神界の裏切りが動き出す

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ヘラクレスVSジャック・ザ・リッパー、ついに決着。
人類と神の勝敗は2勝2敗のイーブンへと戻され、物語は新たな局面へ突入する。

8巻は、表の闘いである「シヴァVS雷電為右衛門」の開幕と、裏で静かに進行する「神々の内紛」という二重構造が強烈なインパクトを残す一冊だ。

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8巻の収録話と内容紹介

8巻は30~33話を収録。

第30話

ヘラクレスVSジャック・ザ・リッパーがついに決着。
勝者は人類代表・ジャック。これで人類2勝、神2勝となり、戦績は再び五分に戻る。しかし勝ったジャックは晴れやかな表情どころか、これまで一度も味わったことのない“奇妙な感情”に戸惑っていた。
恐怖に染まらず、「人間を愛している」と言い残して逝ったヘラクレスの最期が、冷徹な殺人鬼の心を確実に揺さぶる。

一方、ワルキューレ長女ブリュンヒルデは、妹の前では涙を見せず、ひそかにヘラクレスを弔う。これまで倒れた呂布、アダムと並べ、すべてが終わったら自分も後を追うと語る姿が印象的だ。
また人類側では沖田総司が登場し、「自分の番はまだか」と戦いへの高揚を見せる。

第31話

第5戦目の人類代表として選ばれたのは、人類史上最強の力士・雷電為右衛門。
神器化するのはワルキューレ3女・スルーズ。怪物のような体躯を気にするスルーズに対し、「いいねえ」と即答する雷電の豪快さが印象的だ。


対する神代表はインド神話の最高神・シヴァ。ここに「雷電VSシヴァ」が開幕する。

第32話

雷電の初手は相撲ではなく、まさかの飛び蹴り。ロシアンフック、膝蹴りと、もはや何でもありの総合格闘技戦に場内は大熱狂。


虚を突かれたシヴァも巴投げで反撃し、ハイレベルな攻防が続く。
しかしその最中、神側ではロキと釈迦の間に不穏な空気が漂い始める。

第33話

雷電の壮絶な過去編が描かれる。
生まれながらに異常な筋力を持ち、立った瞬間に骨が砕けるほどの肉体を背負っていた雷電。
その暴れる筋肉を抑え込むために編み出したのが「百閉」、そして今まさにその“封印”を解く瞬間が訪れる。

スルーズと完全に一体化したことで、雷電は初めて「全力」を解放する。
その裏で、ロキはワルキューレの力の正体が「一蓮托生」であると看破し、釈迦の裏切りに気づく。
天界処刑人・七福神が釈迦のもとへ現れ、そこに佐々木小次郎、沖田総司、近藤勇も参戦。
表と裏、二つの戦場が同時に動き出すところで8巻は幕を閉じる。

登場人物の動き・印象

ジャック・ザ・リッパ―

勝利を手にしながらも、心に残ったのは達成感ではなく“理解不能な感情”。ヘラクレスの死によって、初めて「誰かに会いたい」と思ったジャックの変化が強烈。

ヘラクレス

最後まで人間を信じ、人を愛したまま散った神。単なる「敗者」ではなく、物語の精神性を大きく揺さぶる存在として強い爪痕を残した。

ブリュンヒルデ

妹の前では気丈に振る舞いながら、ひとりで涙を流す姿が印象的。戦いの重さと自らの覚悟が、より鮮明に描かれる巻となった。

雷電為右衛門

豪快な表の顔と、壮絶な宿命を背負った裏の顔。そのギャップが一気に明かされ、単なるパワーキャラでは終わらない深みを見せる。

釈迦・ロキ

神側の内側でついに露見した“裏切り”。この対立が、単なる人類VS神の構図を超えた物語へと押し広げていく予感。

8巻の見どころ・印象に残った展開

8巻は「勝利の余韻」と「新たな戦いの胎動」、そして「神側の分裂」という三つの大きなうねりが同時に押し寄せる巻だ。感情・肉体・思想、それぞれの衝突が強く印象に残る。

ジャックの勝利と“感情の目覚め”

ヘラクレスの最期が、ジャックの価値観を根底から揺さぶる。
恐怖ではなく、“愛”の色を見た瞬間、冷酷な殺人鬼が初めて戸惑いを覚える展開は、この作品屈指の心理描写だと感じた。

雷電為右衛門という「宿命の塊」

異常な筋力ゆえに自らを壊してきた雷電の人生。そのすべてを背負ったうえで放たれる「解放」。
スルーズとの完全同調によって、ようやく“普通に全力で戦える”ようになったという逆説的な感動がある。

神界で始まるもう一つの戦争

ロキが見抜いた「一蓮托生」と釈迦の裏切り。
そして七福神、さらに小次郎・沖田・近藤の乱入。
メインイベントの裏で進行する全面衝突の気配が、次巻への期待を一気に引き上げる。

まとめ

終末のワルキューレ8巻は、「一つの戦いの終着」と「複数の戦争の始まり」が同時に描かれる、非常に密度の高い巻だった。
ジャックとヘラクレスの余韻、雷電とシヴァの覚醒バトル、そして神界内部の裏切り――どれもが次巻への強烈な引きを生み出している。

表の闘いと裏の闘いがどう交錯していくのか。
そして雷電の“本当の全力”が、シヴァにどこまで通用するのか。
9巻への期待は、これまで以上に高まる形で締めくくられる一冊だった。

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