テスラVSベルゼブブ、その戦いはついに「力比べ」の領域を越え、
生きる意味・死を望む理由・人類が積み重ねてきた叡智を問う段階へと踏み込んでいく。
科学の進歩を信じる人類代表と、死を渇望する神。
両者の過去が明かされることで、この一戦が持つ重みは一気に増していく。
18巻の収録話と内容紹介
18巻は第71話~第74話を収録。
71話
テスラが用意した“神々の監獄(ゲマトリア・ゾーン)”が展開される。
反重力システムにより、テスラは零距離最高速や急反転など、常識外れの動きでベルゼブブを翻弄。
テスラステップ、テスラステップワンダフルといった技名は観客から不評ながらも、その性能は本物だった。
しかしベルゼブブもすぐに順応し、テスラの動きを完全に見切る。
そこからテスラはさらに一歩先へ――瞬間移動という“科学の到達点”を見せつける。
72話
ニコラ・テスラの死後に行われた極秘実験の逸話が語られる。
瞬間移動は失敗ではなく、すでに完成していた技術だった。
ベルゼブブはその能力の制約を冷静に見抜き、テスラもまたそれを隠すことなく認め、解説する。
科学者としての姿勢が強く印象に残る場面だ。
73話
ベルゼブブの過去が明かされる。
死を望みながらも死ねない存在として、彼は冥界の王・ハデスに挑み、その思想に触れていく。
「呪い」だと思っていた刺青は、「生きろ」という祈りだったという言葉は重い。
74話
ベルゼブブは禁忌の技を解放し、闘技場を抉るほどの一撃を放つ。
テスラは瀕死に追い込まれるが、それでも立ち上がり、人類の未来を語る。
そしてテスラ自身の幼少期、兄との記憶が描かれ、彼の思想の原点が示される。
登場人物の動き・印象
ただの“科学バカ”ではなく、科学を「受け継がれていくもの」として捉える思想家であることが明確になる。
情報を隠さず、叡智を共有することで人類は進歩してきた――その姿勢は、戦いの中でも一貫している。
死を望みながら生き続ける矛盾した存在。
ハデスとの出会いによって「どう死ぬか」という考え方へと変化し、
ハデスの死をきっかけに、その歪みは人類殲滅という方向へと傾いていく。
回想のみの登場ながら、その存在感は圧倒的。
ベルゼブブを弟のように扱い、その生き様と死を見届けようとする姿勢が印象的。
18巻の見どころ・印象に残った展開
この巻の魅力は、バトルの激しさ以上に、思想のぶつかり合いにある。
科学、死、生き続けること――それぞれの答えが、戦闘描写と過去回想を通して浮かび上がってくる。
神々の監獄と科学の暴走感
反重力、零距離、瞬間移動。
テスラの戦い方は、もはや“神話バトル”というよりSFそのもの。
それでも世界観から浮かないのは、科学=人類の積み重ねという芯があるからだろうか。やけに印象に残っています。
ベルゼブブの「死にたい」という本音
自ら死ねず、誰かに殺してもらうことを望んでいたベルゼブブ。
その歪んだ願いを、ハデスが真正面から否定も肯定もせず受け止める場面は、非常に印象深い。
※ベルゼブブがなぜ死を望むのかは17巻参照。
テスラが語る「人は死んでも終わりじゃない」
兄の死と研究の継承。
科学を通して、人は記憶され、受け継がれ、生き続ける――
テスラの思想が、この一戦に確かな意味を与えている。
感動する場面だが負けフラグのように思えて印象に残っている。
18巻全体のテーマ・考察
ベルゼブブは死を望みながら生き続け、テスラは死を超えても続く“人類の進歩”を信じている。
ハデスがベルゼブブに向けた態度は、兄弟のようでもあり、保護者のようでもある。
だからこそ、ハデスの死はベルゼブブの中で大きな断絶となり、自分の死よりも、人類への憎悪へと向かわせたのではないだろうか。
科学とは、誰かが死んでも終わらない。
この思想そのものが、神に抗う最大の武器として描かれている。
まとめ
第18巻は、テスラVSベルゼブブというカードを
思想・過去・感情のすべてを注ぎ込んだ濃密な一冊へと昇華させた巻だった。
勝敗以上に、「この戦いが何を証明するのか」が強く心に残る。
瀕死のテスラがなお構えを崩さないラストは、次巻での決着を強烈に予感させる展開。
科学は終わらない。
その言葉が、神の絶望をどう打ち砕くのか――


