スパルタ最強の王レオニダスと、太陽神アポロン。
「不遜な人間」と「ナルシストな神」という分かりやすい対立構図かと思いきや、第20巻で描かれるのは、互いに譲れない“誇り”と“己の在り方”をぶつけ合う、想像以上に熱い魂の殴り合いだった。
過去と信念が交錯し、バトルの意味が一段深まる一冊である。
20巻の収録話と内容紹介
20巻は第79話~第82話を収録。
79話
レオニダスVSアポロンの戦いの裏にある、スパルタ王レオニダスの過去が語られる。
カルネイア祭という神託を理由に戦を禁じる長老会に反発し、たった一人でペルシア軍へ向かったレオニダス。その姿に魅せられ、300人のスパルタ兵が後を追ったという逸話は、彼の生き様そのものだった。
80~82話
第80話以降は本格的な戦闘描写へ。
アポロンの神器「アルテミスの糸」による神業のアウトボクシングが炸裂し、レオニダスは一方的に追い込まれていく。
第81話ではリングを狭めた撃ち合いが展開され、ついにレオニダスの反撃が始まる。
そして第82話、アポロンの過去と“美”に対する価値観が明かされ、両者が互いを認め合ったところで、物語は次巻へと続く。
登場人物の動き・印象
神託すら叩き壊す反逆者という印象が、過去編によって「絶対に頭を下げない男」という一本筋の通った人物像へと昇華された。
倒され続けても決して屈しない姿は、スパルタの“強さ”そのものを体現している。
レオニダスと同じく「舐められることを許さない」性格が印象的。
主と一蓮托生の関係性が、戦いの熱量をさらに引き上げている。
軽薄で自信過剰な神というイメージは、この巻で大きく覆る。
誰よりも己を知り、己を磨き続ける存在であることが明かされ、単なるナルシストでは終わらない深みを得た。
20巻の見どころ・印象に残った展開
第20巻の見どころは、派手な攻防以上に「なぜ戦うのか」「何を誇りとして生きてきたのか」が丁寧に描かれている点にある。
神託を壊す男・レオニダスの過去
アポロンの神託を前にしても一切迷わず像を破壊し、単身戦場へ向かう姿は圧巻。
“神よりも己の意志を信じる”という姿勢が、スパルタ王としての覚悟を強烈に印象づける。
神のアウトボクシングと絶望的な力量差
アルテミスの糸による防御と攻撃を両立させたアポロンの戦い方は、まさに神業。
軽やかに舞いながら一方的に打ち込む姿は、レオニダスの敗北すら予感させる。
倒れないプライドが流れを変える瞬間
渾身のストレートを受けても立ち続け、ヘッドバットからの追撃でアポロンからダウンを奪う場面は、この巻屈指の名シーン。
スパルタの強さとは、力ではなく「決して屈しない心」なのだと突きつけられる。
アポロンが語る“美”の正体
怪物ピュトンとの過去を通じて語られる「美」とは、外見ではなく己を知り、変わり続ける姿勢そのもの。
この思想が明かされたことで、アポロンという神の見え方が一変する。
20巻全体のテーマ・考察
第20巻のテーマは、「プライド」と「自己理解」の衝突だろう。
何者にも頭を下げないレオニダスと、己の弱さすら受け入れ高め続けるアポロン。
一見すれば後者が勝ちそうだが、決して折れない前者の在り方もまた“美しい”。
この戦いは、どちらの生き方が正しいかではなく、どこまで己を貫けるかを問う戦いなのだと感じた。
まとめ
レオニダスVSアポロンは、単なる肉弾戦を超えた“信念のぶつかり合い”へと昇華した。
互いを認め合ったうえで迎える次巻は、さらに激しく、さらに美しい戦いになるはずだ。
決着の行方だけでなく、最後にどちらの“誇り”が立ち続けるのか――その瞬間を見届けたい。


