長く続いた第7回戦、ハデスVS始皇帝の戦いが、ついに決着を迎える第16巻。
「王」とは何か、「守る」とは何か——二人の王が背負った矜持がぶつかり合い、読者の想像を超える結末へとたどり着く。
さらに物語は次なる局面へ。釈迦の不穏な調査依頼、そして科学で神に挑む男・ニコラ・テスラの登場。ラグナロクは、明確に次のフェーズへ突入した。
16巻の収録話と内容紹介
16巻は62話~66話を収録。
62話
アレスの語りを通じてハデスの過去が描かれる。
ギガントマキアの時代、天界が巨人族とティターン神族の挟撃を受けた絶望的状況下で、ハデスはたった一人で冥界側の脅威を退けていた。誰にも告げず、弟たちの背を守るために戦った兄としての矜持。神々から絶対的な信頼を寄せられる理由が、ここで明らかになる。
63話
再びハデスVS始皇帝の戦場へ。
四血槍デスモスによって追い詰められた始皇帝は、すでに防御手段を失っていた。それでも勝利を諦めない始皇帝に応えるように、アルヴィドは全てを託し、始皇勾践剣へと姿を変える。王同士の真正面からの激突は、始皇帝の敗北を予感させる形で幕を閉じる。
64話
両陣営が「次で終わる」と確信する中、最後の一撃が放たれる。
ハデスの渾身の攻撃を受け止めつつ、わずかな隙を突いた始皇帝の剣がデスモスを砕き、勝負は決着。「それでこそ王だ」という言葉を残し、ハデスは散る。
65話
その結果を受けた余波が描かれる。
始皇帝の勝利が決して偶然ではないことを、小次郎の解説が補強し、読者にも納得感を与える。一方、兄ハデスの死に激昂したアダマスは、理性を失い暴走しかけるが、ベルゼブブの介入により踏みとどまる。
66話
物語が大きく動き出す。
釈迦は坂田金時に、ラグナロクを揺るがす存在「ジークフリート」の調査を依頼。そして次の人類闘士として、ニコラ・テスラが登場。神器錬成によって科学の力を具現化したバトルスーツを纏い、神側の闘士ベルゼブブと対峙する構図が提示され、第16巻は幕を閉じる。
登場人物の動き・印象
追い詰められてなお折れない王の姿を体現。勝利は奇跡ではなく、積み重ねた選択の結果だと納得させる描写が光る。
これまでの闘士とは明確に異なるアプローチを持つ男。科学という概念を武器に、神へ挑む異質な存在感を放つ。
静かに、しかし確実にラグナロクの裏側を動かし始める存在!? 今回の依頼は、今後の展開への大きな布石になりそう。14巻54話のブリュンヒルデの煩悩と関係があるのか・・・
圧倒的な強さだけでなく、兄としての責任と覚悟が強く印象づけられる巻。敗北してなお、その生き様が神の威厳を示していた。
兄を想うがゆえに理性を失いかける姿が、人間味ならぬ“神の感情”を強く感じさせる。ハデスと同じく、彼もまた兄弟想いだった。
16巻の見どころ・印象に残った展開
第16巻は、王の物語に一つの終止符を打つと同時に、ラグナロクの新たな可能性を提示する転換点となる一冊だ。
王対王、譲れぬ矜持の最終局面
ハデスと始皇帝の戦いは、単なる強さ比べではなく、「王とは何か」を問い続けるぶつかり合いだった。
追い詰められ、腕を失い、それでもなお立ち上がる始皇帝の姿は、合理や勝算を超えた“王の意地”そのもの。一方のハデスもまた、弟たちの背を守る兄として、誇り高き王として、最後まで一切の迷いを見せない。
どちらが勝ってもおかしくない展開の中で、勝敗を分けたのは技や力ではなく、積み重ねてきた「在り方」だったように思える。
ハデスが示した“兄”という在り方
第62話で描かれたギガントマキアの回想は、ハデスという神の本質を鮮烈に浮かび上がらせる。
誰にも告げず、援軍も求めず、ただ弟たちの背を守るために一人で戦い抜いた過去。その姿は支配者ではなく、守護者としての王の姿だった。
そしてその生き様は、神々からの厚い信頼、アダマスの激昂、ベルゼブブの言葉へと連なり、ハデスが“敗北してなお神であり続けた”理由を読者に納得させる。
科学が神に挑む時代の幕開け
ニコラ・テスラの登場は、ラグナロクに明確な変化をもたらす。
これまでの人類闘士が「肉体」や「技」、「精神力」で神に挑んできたのに対し、テスラが持ち込むのは純粋な知性と理論。
神器錬成によって完成したバトルスーツは、ヒーロー的な高揚感と同時に、「科学は神を超越する」という挑発的なテーマを突きつけてくる。
力の時代から思想の時代へ――第16巻は、その境界線をはっきりと描いた巻だと言える。
まとめ
第16巻は、ハデスVS始皇帝という名勝負に完璧な決着をつけつつ、物語を次の段階へ押し上げた一冊だった。
王の物語に涙し、科学の可能性に震える——そんな感情の振れ幅を味わえる。
次巻では、テスラVSベルゼブブという異色の対決が本格始動するはず。
神に挑む「人類の知性」は、どこまで通用するのか。ラグナロクは、まだまだ底を見せてくれそうにない。


